自覚的聴力検査と他覚的聴力検査を徹底比較!

The following two tabs change content below.
言語聴覚士。大学卒業後、耳鼻咽喉科に勤務し、難聴、吃音、構音障害等の聴覚・言語・コミュニケーションに困難を抱えている方のサポートを行っている。また、患者団体や家族会と連携しイベントや講演等もこなす。2013年から言語聴覚療法の情報をまとめた言語聴覚士リハビリ情報サイト:STナビを運営し、言語聴覚士の認知度向上とともに、患者様やご家族の方への適切な医療情報の発信に努めている。

宮崎関大

聞こえの検査には、患者の協力を得て行う「自覚的聴力検査」と、患者の協力を得ることなく行える「他覚的聴力検査」があります。
聴力レベルの測定には、基本的に自覚的聴力検査を実施することが望ましいと考えられています。
しかし対象者の中には、乳幼児や重症な身体障害のある方など、自分で意思表示をできない方もいます。そのような場合に実施されるのが、脳波などを用いた他覚的聴力検査です。

自覚的聴力検査とは?

患者本人の自覚的な反応を用いて行う検査方法です。
代表的な検査法には、純音聴力検査と語音聴力検査があります。

純音聴力検査

周波数ごとに純音を呈示して、かすかに聞こえるレベル(閾値)を求める検査です。
検査結果はオージオグラムに記入します。オージオグラムの縦軸は音圧で単位はdB(デシベル)、横軸は周波数で単位はHz(ヘルツ)です。右耳の聴力を○、左耳を×で記します。
この結果により、聴力レベルの算出、伝音性難聴と感音性難聴の鑑別を行うことができます。

平均聴力レベルの算出には、4分法を用います。

4分法={500Hz+(1000Hz×2)+2000Hz}÷4

図表の平均聴力レベルは、右耳45dB、左耳78.75dBの難聴と算出できます。

出典:STナビ「純音聴力検査」(2016年6月7日)

語音聴力検査

語音を検査音として用いて行う検査です。「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」などの単音節を呈示して、結果をスピーチオージオグラムに記します。
最も正答率の高い値を最高語音明瞭度(語音弁別能)として求めます。
語音明瞭度は、難聴者の教育やリハビリテーションを行うのに不可欠な情報。補聴器や人工内耳の適応および効果の評価の際にも重要な資料となります。

出典:STナビ「語音聴力検査」(2017年6月7日)

他覚的聴力検査とは?

患者本人の生理的な反応を利用して行う検査方法です。
代表的な検査法には、聴性脳幹反応(ABR)と耳音響放射(OAE)があります。

聴性脳幹反応(ABR:auditory brainstem response)

音に誘発される蝸牛神経ならびに脳幹部聴覚路由来の反応を調べる検査です。
純音聴力検査の実施できない乳幼児や、心因性難聴の診断には欠かせない検査です。また新生児のスクリーニング、聴神経腫瘍の診断、脳死の判定基準にも用いられます。

出典:岡山大学病院検査部 脳神経生理検査「聴性脳幹反応」(2017年6月7日)

耳音響放射(OAE:otoacoustic emission)

耳音響放射とは、耳に音刺激を与えた際に生じる蝸牛の振動が、中耳を経て外耳道に放射されるさまざまな音響現象の総称です。この現象をコンピュータ下で操作・記録します。
耳音響放射にはいくつかの種類があり、

  • ・短音刺激により誘発される誘発耳音響放射(EOAE:evoked OAE)
  • ・ある組み合わせの2音刺激により誘発される歪成分耳音響放射(DPOAE:distortion product OAE)
  • ・音刺激がないときにみられる自発耳音響放射(SOAE:spontaneous OAE)

が知られています。
本検査は、患者の自覚的反応を必要とせず、短時間に簡便に測定可能なため、新生児のスクリーニング検査として実施されています。

出典:Audiology Japan 49,216~226,2006 慶応義塾大学耳鼻咽喉科 小川郁(2010)「他覚的聴覚検査法としての耳音響放射検査

参考文献
・日本聴覚医学会編(2009)『聴覚検査の実際 改訂3版』 南山堂
・喜多村健著(2000)『言語聴覚士のための聴覚障害学』 医歯薬出版株式会社

この記事が気に入ったら
いいね!

最新記事をお届けします。

LINEで購読