人間が二足歩行できるのはなぜ?

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私たち人間はごく普通に二本の足で立ち、歩いたり走ったりすることができます。
誰もが教わることなく自然と身につけていくことですが、実はこれ、すごいことだってご存知でしたか?

通常の脊椎動物のほとんどは四足歩行です。
エサや外敵の気配を察知して後ろ足で立つ場面もありますが、長い間直立することはできません。
移動するときは必ず四足に戻ります。
人形やフィギュアを飾る時も、支えるスタンドや足場の固定がなければ立たせるのは難しいですよね。
二本足で立って歩くということは、実はとても稀有なことなのです。

今回の記事では、人間が当たり前のように習得している「二足歩行」のメカニズムについて考えます。

身体のつくりから考える

四足歩行の動物と人間の背骨を見比べてみましょう。

出典:山賀進のWeb site

四足歩行の動物はブリッジ状の背骨を持ち、頸椎に行くほど太くなっています。
骨が太くなるのは荷重がかかる部分ですから、重い頭を支えるために、首回りの骨が強化されているのがわかりますね。

対して人間の背骨はカーブを描いており、一番太いのは骨盤の上の腰椎です。
つまり人間は立つために、重心を下腹部に変化させたことが考えられます。
動物よりも発達していて重い頭を支えられるのは、背骨のS字カーブが重力を逃がして支えているから。
その上で脊柱起立筋・腹筋・大腿二頭筋といった抗重力筋が発達し、上半身のバランスを保っているものと思われます。

さらに人間の身体が日本の足で歩ける理由には、らせん状に覆っている「筋膜」の影響が大きいと考えられています。

体幹を走る広背筋の一部の筋膜は、胸腰筋膜を介して反対側の大殿筋膜にクロスして繋がっています。
そのために右手と左足を同時に前に出す、交差性の歩行スタイルが可能になったのです。

身体の中から考える


また、人間の身体には自動的に機能している「平衡感覚」というシステムがあります。
これが二本足という不安定な姿勢でありながら、さまざまな動きを可能にしているのです。

耳の奥にある内耳は、「半規管」「耳石器」「蝸牛」の三つのパーツで構成されています。
そのうち「蝸牛」は音を聴くための器官であり、平衡感覚とは直接関係していません。
身体の回転を感じる「半規管」と、身体の傾きを感じる耳石器が、平衡感覚を司るセンサーの役割を果たしています。

半規管

半規管は3本のアーチ状の管で、前・後ろ斜め・水平の面を向いた形状をしています。
頭部が水平に振られると、水平のアーチ内にリンパ液の流れが発生。
半規管内部にあるクプラという部位がたわみ、それが感知されてシグナルが眼球を動かす筋肉へ発信されます。
すると眼球は、頭の動きを打ち消す方向へ自動的に回転させられるのです。

耳石器

人間の頭部が傾くと、耳石器の上部がずれます。
するとそれを感知した耳石器は、脚の筋肉に「傾いた身体を立て直せ」とシグナルを出すのです。
それによって微妙な調節が施されるため、人間は立つことが可能となります。

まとめ


人間の身体の構造、そして内部の自動的な機能。
これらが揃ってこそ、人間は発達した重い頭を支えたまま多彩な動きが出来るのです。
こうした仕組みを理解した上で、患者さんに対するスポーツ指導歩行訓練を行えるとよいでしょう。

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