ストレングスモデルとは?~精神障害者を支える考え方~

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病気や障害による「できないこと」に焦点を当てるのではなく、患者さんの長所や強みにアプローチして「できること」を大切にする支援。
それが今日の日本の精神障害ケースマネジメントにおいて、正当な考え方とされている「ストレングスモデル」です。
自身も精神障害を持つ研究者、チャールズ・A・ラップによって提唱されました。

今回の記事では、この「ストレングスモデル」について詳しく説明いたします。

ストレングスモデルとは

ストレングスモデル
ストレングスモデルは、患者さんの夢や希望を実現させるために、患者さんが持つ強み(=ストレングス)を生かした生活を支援していく考え方のことを指します。
患者さん自身の思いを語ってもらい、支援する側と共有することが必要であるため、双方の間に信頼関係を築くことが重視されます。

これまで医療においては、支援する側が患者さんの問題点にスポットを当てて「問題解決」を目指す考え方の方が重視されてきました。
特に急性期では、迅速で的確な問題解決が求められるため、「問題解決モデル」の方が有効です。

しかし慢性疾患患者や高齢者の場合、退院後も長く病気と付き合って生活していくことになります。
患者さんの意思や意欲を取り入れたケアプランが立案される中、医療においても同じ考え方で支援する必要があるのです。
そのため、今後は医療分野においても「ストレングスモデル」が重視されると推測できます。

ストレングスモデルの6原則

ストレングスモデル
チャールズ・A・ラップが定義した、ストレングスモデルの6原則があります。
冒頭の通り、2番目の「焦点は個人の強み」がもっとも重要視されているものです。

  • 1. 精神障害者は回復し、生活を改善して質を高めることができる
  • 2.焦点は病理でなく個人の強みである
  • 3.地域は資源のオアシスとして捉える
  • 4.クライエントは支援プロセスの監督者である
  • 5.支援者と患者の関係が根本であり本質である
  • 6.支援者の仕事の場所は地域である

ストレングスとは?

ストレングスモデル
患者さんの強みを表すストレングスには、主に4つの種類があります。

個人の性質・性格

患者さんがどのような人かを表す、人柄や個性といったものです。
例:「人なつっこい」「努力家」「ムードメーカー」など

才能・技能

患者さんが持つ才能や技能です。他にも経験や、その経験からくる自負などもストレングスとして数えられます。
例:「ギターを弾ける」「短歌を詠める」「お茶を点てられる」など

関心・願望

ストレングスモデルにおいては最も重要視されるストレングスです。
患者さんが関心を示すもの、強く望んでいるものを指します。
例:「旅行に行きたい」「陶芸を教えたい」「小説家になりたい」など

環境

患者さんを取り巻く外的要因も、ストレングスとして挙げることができます。
年金をもらっているなどの制度的環境、親戚や知人などの人間関係、住んでいる場所や地域に何があるかといった住環境……環境のストレングスは多岐にわたります。
例:「お金には困っていない」「近所に息子夫婦が住んでいる」「持ち家がある」など

ストレングスモデルのケースマネジメント

ストレングスモデル
ストレングスモデルのケースマネジメントでは、患者さんのリカバリー過程を鑑みてアセスメントを行います。
リカバリーとは、精神障害を乗り越えて人生の新しい目的を見つけること。患者さんの自己実現、とも言えます。

リカバリーにおいて重要なのは、患者さんが以下の条件を達成することです。

  • ・自分の周りで起こっていることを理解する
  • ・問題や症状をコントロールできるようになる
  • ・「リカバリーできる」と希望を持つ

そのためにセラピストは広い視野を持って、患者さんを深く理解し、援助関係を構築していく必要があります。
患者さんとの信頼関係を築きリカバリーを目指すためには、ストレングスモデルの考えに則ったアセスメント……
ストレングス・アセスメントを行いましょう。

ストレングス・アセスメント

ストレングス・アセスメントを行う目的は、患者さんの情報をしっかり収集することにあります。
その基礎の上に、信頼関係と支援体制を築き上げていくのです。

ストレングス・アセスメントのやり方

ストレングスモデル
ストレングス・アセスメントをどのように行うか、以下の項目をご参考ください。

1.情報収集

患者さんにまつわる情報は、会話をしながら少しずつ集めていきましょう。
面接や調査を通したものではありません。
話の内容だけでなく、患者さんの様子や話しぶりなども意識してチェックできるとよいですね。

2.アセスメントの頻度

アセスメントの目的は、患者さんのストレングスを普段の生活環境の中で見つけ出すことです。
地域のさまざまな場所や場面で、継続的に行っていきましょう。

3.事例報告書

ストレングスモデル

(出典:社会福祉法人 安心会 相談事業所 所沢しあわせの里

患者さんから得た情報は、誰のものかきちんとわかるように具体的に記録しましょう。
担当している相手のさまざまなストレングスを、生活領域ごとに見出して書き記します。
関心や希望についても同様です。

患者さんにストレングス・アセスメントの意義を感じてもらうために、工夫をこらすのもよいでしょう。
報告書を患者さん自身に書いてもらったり、完成した書類のコピーを渡すなどがそれに挙げられます。

患者さんの地域資源活用

患者さんが周囲を頼ろうとした際の試みは、患者さんなりに考えた結果の対処方法として書き記します。
自分で出来なかったからといって、「失敗」と見なすべきではありません。

アセスメントの際のポイント

ストレングスモデル
ストレングス・アセスメントを行う際には、支援する側として以下のポイントを押さえておきましょう。

  • ・患者さんの置かれている状況の観点から情報を収集する
  • ・「今」にスポットを当てつつも、「将来」「過去」についても話し合いをする
  • ・患者さんが何を望むか、患者さん自身に決めてもらう
  • ・アセスメント中は励ましやアドバイス、承認を欠かさない
  • ・常に患者さんから教わる・尋ねる姿勢を忘れない

まとめ

ストレングスモデル
これからの医療は問題解決モデル一辺倒ではなく、患者さんのできることに着目したストレングスモデルも重要になってきます。
それは患者さん一人一人の生活の質、QOLを求めることに繋がっているからです。
精神障害を持つ患者さんの自立支援のために、ぜひこの記事を参考にして、支援者として心を開きあう関係を作りましょう!

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