注意障害を素早く評価する「TMT検査」のススメ

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脳卒中の後遺症として挙がる高次脳機能障害。その中でも「注意障害」は、臨床現場において高頻度で出現する障害ではないでしょうか。

注意障害は大きく分けて以下の4つ

  • ・持続性注意障害:集中力が持続せず、気が散って飽きっぽくなる
  • ・選択性注意障害:複数の情報から適切なものを選べなくなる
  • ・分割(分配)性注意障害:複数の作業を並行して行えなくなる
  • ・転換性注意(抑制機能)障害:目的と関係のない情報に影響されて、取捨選択が困難になる

に分類されています。
今回の記事では、注意障害の中でも特に選択性注意障害を評価する検査法「TMT検査」についてご紹介いたします。

TMTとは

tmt検査

TMTは注意機能や遂行機能を評価・向上させるための検査法で、正式名称を「Trail Making Test」といいます。

紙に書かれた文字や数字を使って「文字の切り替え・数字の順序性」に取り組んでもらい、それに伴う注意機能の持続性や情報の選択、視覚的探索、視覚運動協調性などの要素を確認します。

精神機能評価の要素も複合的に併せ持っているため、遂行機能の低下を見る上でも有用な検査法です。
ただし信頼性についてはまだまだ検討の余地があるものになるので、課題中の患者さんを自分自身がしっかり見て観察することが重要です。

検査方法

TMT検査はTMT-A検査とTMT-B検査の2つで1セットとなっています。

それぞれA4紙に数字やひらがなが記載されていて、それをルールに沿って鉛筆の線で結んでもらいます。その作業にかかった時間を計測して、障害されている部分や程度を確認するというものです。

検査に用いる道具は検査用紙と鉛筆・消しゴム、ストップウォッチのみ。かかる時間も5~10分程度のため、手軽に注意障害を検査・評価することが出来ます。

TMT-A検査

tmt検査
引用:長崎県 長崎県版介護予防事業支援マニュアル「閉じこもり・認知症・うつ予防事業マニュアル別冊プログラム例集 間違い探し・かなひろい・TMT」(2008年10月)

A4紙にランダムに記載された1~25の数字を、1から順に鉛筆の線で結んでもらいます。
最後の25に辿り着くまでの所要時間を計測しましょう。

TMT-B検査

tmt検査
引用:長崎県 長崎県版介護予防事業支援マニュアル「閉じこもり・認知症・うつ予防事業マニュアル別冊プログラム例集 間違い探し・かなひろい・TMT」(2008年10月)

A4紙にランダムに記載された1~13の数字と、「あ」~「し」のひらがなを、1→あ→2→い……と交互に結んでもらいます。
作業を完了するまでの所要時間を計測しましょう。

TMT-Bに関しては5分間の制限時間が設けられており、時間内に出来なかった場合は評価不能と判断されます。

どちらの検査も「探索能力」や「選択性注意」が関係するため、AB双方のテストで低下が見られれば作業速度の低下や視覚性の探索障害を確認することが出来ます。

もしBにのみ著しい低下が見られた場合は、ワーキングメモリなどの障害が疑われるため、前頭葉の機能低下を推測します。

検査を行う上での注意点

検査を行う上で、気を付けておくべきポイントを紹介します。

必ず練習をしてから本番の検査に入る

tmt検査
tmt検査
引用:長崎県 長崎県版介護予防事業支援マニュアル「閉じこもり・認知症・うつ予防事業マニュアル別冊プログラム例集 間違い探し・かなひろい・TMT」(2008年10月)

TMT-A検査でもTMT-B検査でも、まずは簡略化されたバージョンの練習用紙で練習してもらってから検査を行うようにしましょう。

その際には「間違っていた時には指摘するので訂正して次に進むこと」「鉛筆を紙から浮かさないようにすること」をあらかじめ伝え、概要やルールをきちんと説明します。

もし練習の段階で検査を行えなかった場合は、本検査を中止しましょう。

この検査だけでは注意障害を断定出来ない

TMT検査は動作を必要とするため、麻痺や運動機能に障害を持つ患者さんの場合、検査結果に影響が出てしまいます。
言語能力に著しい欠陥が見られる場合も同様です。
こうした患者さんを対象にする場合は注意が必要となります。

TMT検査はより詳細な注意機能評価を行う前の選別と思っておくとよいでしょう。

評価方法

ABともに所要時間を計測するとともに、結び間違いの数も記録しておきます。
なお、評価は健常者の所要時間の結果平均と比較する形で行われます。

【TMT-A検査】
年齢 平均所要時間
(秒)
標準偏差
(データのばらつき)
カットオフ値
20代 66.9 15.4 82.4
30代 70.9 18.5 89.6
40代 87.2 27.9 115.2
50代 109.3 35.6 145.0
60代 157.6 65.8 223.5
【TMT-B検査】
年齢 平均所要時間
(秒)
標準偏差
(データのばらつき)
カットオフ値
20代 83.9 23.7 107.7
30代 90.1 25.3 115.5
40代 121.2 48.6 169.9
50代 150.2 51.3 201.6
60代 261.2 84.7 300.9

検査用紙のダウンロード

TMT検査の検査用紙はこちらからダウンロードすることが出来ます。
→長崎県 閉じこもり・認知症・うつ予防事業マニュアル別冊プログラム例集 間違い探し・かなひろい・TMT
(※TMTの検査用紙は後半に収録されています。)

まとめ

いまや日本の国内死因第3位となっている脳卒中。その年間死亡者数は、約13万人にのぼるといいます。

今後はますます脳卒中患者が増え、臨床現場で高次脳機能障害の患者さんを担当する機会も増加することでしょう。
注意障害を持つ患者さんへのリハビリを行うことも多くなるはずです。

その際にはぜひ、TMT検査を臨床現場で役立ててくださいね!

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