「臨床心理士」とは?注目度NO.1の心理専門職を解明します!

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心理カウンセラー、サイコセラピスト、心理相談員……様々な名称で呼ばれる心理専門職の中で、もっとも信頼されている資格をご存知でしょうか。
それは「臨床心理士」。
複雑化する社会の中で年々需要が増加している、「心のケア」のエキスパートです。

今回はこの「臨床心理士とは何なのか?」について、詳しく解説してまいります。

臨床心理士とは

臨床心理士とは
臨床心理士とは、臨床心理学の知識や技術によって、「心の問題(=精神疾患、心身症、精神心理的問題など)」を抱えた相談依頼者(クライアント)の不適応行動を研究し、予防・改善・援助する心理専門職です。
内閣府によって認可された「公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会」が認定している民間資格で、昭和63(1988)年にスタートしてから、平成28(2016)年4月1日現在で31,291名が認定されています。

国家資格のない心理専門職の中でも、知名度・取得難易度ともに最高とされる臨床心理士。
文部科学省が実施するスクールカウンセラーや、国境なき医師団のメディカルスタッフなど、公的なものの資格要件としても掲げられています。

臨床心理士の仕事内容

臨床心理士とは
臨床心理士には、主に以下の4つの専門業務が求められています。

臨床心理査定(心理アセスメント)

臨床心理査定は、カウンセリングや地域援助の方向性を定める重要な業務です。
クライアントの相談をじっくり聞きながら、相手が抱えている心の問題を明らかにしていきます。クライアントは今どのような状況にいるのか・何に困っているのかを、インテークや心理テスト検査、また継続的なカウンセリングで得た情報によって把握します。
その上で、臨床心理的療法をすべきか?医療機関と連携するか?それとも周囲の環境に対してアプローチするか?など……何が最善のサポートとなるかを考えていくプロセスになります。

臨床心理面接(心理カウンセリング)

臨床心理面接は、いわば相談業務全般のこと。
クライアントの心の問題を解決するため、実際に動いていくフェーズです。
相手の状況を鑑みつつ情報を提供して心理教育を施したり、心理療法技法を用いたカウンセリングでクライアントの自己理解・洞察を導いたりと、心のケアを行っていきます。
臨床心理面接は、クライアントと臨床心理士が信頼関係を築く上でも、適切な臨床心理査定を行う上でも欠かせない重要な業務です。「対話」を用いて行われる、臨床心理士のメインの専門業務と言えるでしょう。

臨床心理的地域援助

臨床心理学における「地域」とは、個々人によって構成される「コミュニティ」のこと。そしてこのコミュニティの中に、「家族」「友人」「学校」「職場」「社会」といったさまざまな社会的集団があります。
臨床心理的地域援助とはつまり、事例に関わるコミュニティへの働きかけを指します。
児童であれば学校の先生や家族、社会人なら職場などと連携して、当人へのアプローチだけでは解決の難しい問題に向かっていくのです。

個人間・コミュニティ間で自然なセルフケアがやり取りされるよう、クライアントへの個人援助業務と並行しながら、連携支援・後方支援の立場で業務を行います。
またメンタルケアの必要性について、普及活動や情報提供もをするのも仕事です。

臨床心理学に関する調査・研究

日本臨床心理士会や学術研究団体、各種研修会における研究活動全般を指します。
臨床心理学調査・研究は、有資格者自身の自己研鑽と臨床心理士資格の保持の双方ともに関わる基盤的業務です。
日々の臨床活動と並行して、職能団体や学術研究団体で継続的に研究活動を行います。

活躍出来る場所

臨床心理士とは
臨床心理士の活動領域は多岐にわたります。

教育分野

学校内での対人関係困難や集団行動不適応、不登校・いじめ・ひきこもりなどの問題に対して、生徒や保護者に対してカウンセリングを行います。
本人や保護者との面接のほか、教師へのコンサルテーションなどを実施し、必要に応じて他機関との橋渡し役も務めます。

働く場所:学校内の相談室(スクールカウンセラー)、教育委員会、公立教育相談機関など

医療・保健分野

ガンなどの身体疾患を持つ人への心理ケアや、葛藤や対人関係の困難によってひきこもりなどの心の問題を生じた人、心神喪失によりアルコール・薬物依存に陥ってしまった人などの臨床心理学的援助を行います。

働く場所:病院・診療所(精神科、心療内科)、保健所、リハビリテーションセンター、老人保健施設など

福祉分野

子育て支援や発達の相談に携わるほか、虐待や非行・DV被害を克服するための相談、障がい者の療育・支援など、福祉に関する幅広い領域に臨床心理学的側面から援助をします。

働く場所:児童相談所、障がい者施設、女性相談センター、老人福祉施設など

司法・法務分野

未成年者の社会適応・再犯防止に向けて、少年非行や家事事件の調査官として関わります。刑務所や少年院では、受刑者に対する集団療法やカウンセリングを実施します。
そのほか、犯罪被害者への支援も行われます。

働く場所:家庭裁判所、刑務所、拘置所、少年院、保護観察所など

労働・産業分野

地方公共団体や企業内のメンタルヘルス向上のため、職場内外において臨床心理学的援助、コンサルテーションなどを行います。
就業の相談では、職業への適性をめぐる問題、発達障害を抱えた人への臨床心理学的援助も実施します。

働く場所:企業内相談室・健康管理センター、公共職業安定所(ハローワーク)、障害者職業センターなど

そのほか大学や研究所、個人的な私設心理相談機関など、臨床心理士の活躍の場はさまざまです。

資格の取得方法

臨床心理士とは
臨床心理士の資格を取得するためには受験資格を満たした上で、日本臨床心理士資格認定協会による資格審査に合格し、資格認定証書の交付手続きを所定期日までに完了する必要があります。

受験資格

臨床心理士の認定試験を受けるには、協会が定めた以下の受験資格のいずれかに該当し、所定の必要証明資料を提出することが条件となっています。

  • ・協会が認可する第1種指定大学院(修了後の心理臨床経験不要)を修了している
  • ・協会が認可する第2種指定大学院を修了し、1年以上の心理臨床経験を有する
  • ・臨床心理学またはそれに準ずる心理臨床に関する分野を専攻する、専門職大学院課程を修了している
  • ・諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、日本で2年以上の心理臨床経験を有する
  • ・医師免許を取得していて、取得後2年以上の心理臨床経験を有する

臨床心理士とは

試験概要

所定の期間内に申請書類を購入し、提出が完了したら、いよいよ試験を受けます。

一次試験(筆記)

100題のマークシートによる「多肢選択方式試験」(2時間30分)と、定められた字数の範囲内で論述する「論文記述試験」(1時間30分)の2種類が実施されます。

マークシート
心理学の基礎的設問のほか、臨床心理士の業務内容に関する知識を問われます。
臨床心理士に関する倫理や法律、基本的な姿勢についても出題されます。
専門知識に対する単純な暗記力より、臨床実践によって総合的な知識が身についているかを確かめられる試験です。
論述試験
心理臨床に関する1つのテーマについて、所定の解答用紙に1,001字以上1,200字以内の範囲内で論述します。
簡潔かつ論理的に表現することはもちろん、字数制限内で内容をまとめることが大切です。

二次試験(面接)

一次試験の「多肢選択方式試験」の成績が一定水準に達した人に対してのみ、2名の面接官を相手にした「口述面接試験」が実施されます。
専門知識や技術の習得度だけでなく、臨床心理士としての基本的な姿勢や態度・専門家として備えておくべき人間関係能力を見られるため、実際の「臨床心理面接」だと思って臨みましょう。

なお臨床心理士の資格試験は一次試験を突破しても、二次試験で落ちた場合にはまた一次試験から再受験することになります。一次試験の免除はありませんので注意しましょう。

資格更新

臨床心理士は生涯学習の一環として、5年ごとに資格の更新が義務づけられています。
更新のためには5年以内に、協会が主催する研修会への参加や研究論文の公刊などを行って、15ポイント以上の取得することが求められます。
詳細な更新要件はこちらをご参考ください。

資格取得のメリット

臨床心理士とは
臨床心理士のニーズは年々増加傾向にあり、活躍の場も拡大されてきています。
医療機関・福祉施設をはじめとする幅広い職種へ就職・転職出来るほか、結婚や出産を機に仕事を辞めた方の再就職にもプラスになります。

また、相手の心理状況を確認するというスキルが身につくため、医療職に携わる人がダブルライセンスとして取得して、より質の良いケアを実施出来るという利点もあります。
特に作業療法士や言語聴覚士の領域は、コミュニケーションからサポートを行う臨床心理士と似ているため、資格取得のメリットも大きいと言えるでしょう。

まとめ

心のケアの重要性が叫ばれる今日、臨床心理士の活躍の場はますます広がっていくことでしょう。
しかも2017年には「公認心理師法」の施行により、公認心理師という心理専門職の国家資格が設けられる予定です。
心の問題を扱う専門職は、チーム医療としてこれまで以上に作業療法士、言語聴覚士とも関わっていくことになります。
少しでも興味のある方は、この機に勉強してみてくださいね!

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