見逃せない!脳卒中のリハビリを考える

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リハビリのお仕事Magazineでは、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などリハビリ職の方々に向けて情報を発信しております。 寄稿希望・取材依頼・お問い合わせなどございましたら、info@rehabili-shigoto.comまでどうぞ。

脳卒中」は脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳細胞が壊死してしまう疾患です。
がん・心疾患・肺炎に次いで日本の死因第4位となっており、年間約12万人が亡くなっているという統計もあります。
高齢化の影響で、今後ますます脳卒中患者やその後遺症によって寝たきりになる高齢者は増加するものと見られています。
脳卒中予防や救急医療で死亡率を下げることはもちろん、罹ってしまった患者さんに対して、リハビリによって身体障害を軽減することもこれからの課題となるでしょう。

そこで今回は、「脳卒中のリハビリ」について振り返ってみましょう。

脳卒中による障害

脳卒中 リハビリ
脳卒中によって引き起こされる身体機能障害は多岐にわたります。
脳の損傷部位によってさまざまな症状が組み合わさって出現するため、脳卒中患者は一人一人症状が異なるといっても過言ではありません。

認知障害
意識障害、認知症、失語症、抑うつなど
脳神経障害
嚥下障害、眼球運動障害、構音障害など
運動障害
片麻痺、運動失調など
感覚障害
しびれや痛みなど
自律神経障害
便秘、失禁など

初期治療に時間がかかって長期間の臥床を強いられると、身体を使わないことによる運動障害(=廃用症候群)も加わるため、症状はますます複雑になります。

急性期のリハビリ

脳卒中 リハビリ
一般に脳卒中リハビリは急性期・回復期・維持期に分けられます。
症状に応じて理学療法・作業療法・言語聴覚療法を処方して、生じた身体機能障害を改善し、自立した生活に戻れるように支援することが目的です。

脳卒中患者はまず急性期病院に運ばれます。検査で脳卒中の状態を詳細に確認し、全身状態の管理が行われるのです。
発症直後は状態が安定していないパターンが多いため、積極的に立ったり歩いたり、麻痺した筋肉を動かせないことがほとんど。
ゆえに急性期におけるリハビリは、廃用症候群の予防と早期の運動学習によるセルフケアの自立が目標となります。

症状が軽い場合

脳血管の状態を検査し、頭を起こしても病状が悪化しないと判断された場合は、発症後の早い段階から座位訓練を行うことも可能です。
頭を起こすことで脳へ血液が流れなくなる危険性がある場合には、身体を起こさずに寝た状態で関節可動域訓練を行います。

症状が重い場合

症状が重く意識がない場合は、関節可動域訓練に加え良肢位保持も必要になります。
寝たきり状態を続けさせると、関節や筋肉の拘縮を起こさせてしまうからです。

開始基準と中止基準

症状の進行や意識障害が見られず、バイタルサインが安定している場合には、関節可動域訓練を行ってもよいでしょう。30°から15°刻みで少しずつ傾きを変えていきます。
先述の通り急性期は状態がまだ安定していないので、長時間のリハビリで患者に負担をかけることは禁物です。
20分間を一段階の区切りとして、5分刻みに血圧や自覚症状を確認しましょう。関節を90°まで傾けることが出来たら、車いすやベッドで座位訓練に移ります。

血圧が20mmHg以上低下したり、めまいや気分不良といった自覚症状が出た場合は中止します。

急性期病院で入院する期間はおおよそ1か月程度。
症状が極軽度の方はそのまま退院します。

回復期のリハビリ

脳卒中 リハビリ
全身状態が安定し、リハビリを積極的に行ってもリスクが少ない状態になると、次は回復期病院への転院を勧められます。
回復期リハビリも急性期同様、可能な限り早期に機能回復することが目標です。

回復期病院には最大約150日・重度の場合は180日に渡って入院し、1日3時間までの積極的なリハビリを行います。

基本的に自宅復帰することを原則としているため、

  • ・入浴動作(浴槽を跨ぐ、湯船に浸かる)
  • ・歩行(屋内外)
  • ・トイレ動作(自分でズボンを下げる、用を足して拭く)
  • ・洗面動作
  • ・更衣動作

など、日常生活で必要な動作が出来るかどうかを確認します。
理学療法士・作業療法士などのリハビリ職は、患者の動作をFIMによって評価・改善していきます。

なお、150日(もしくは180日)の期間を超えてもリハビリを続けたい場合は、以下の選択肢が与えられます。

医療保険で続ける

算定日数を超えても、維持目的でリハビリを続けることは可能です。
その場合は、原則月13単位(1単位20分のリハビリ)までしか行えません。
例えば1回1時間(3単位)のリハビリを受けるとすると、おおよそ週1回の頻度となります。

また、治療を継続することで改善が期待出来ると主治医が判断した場合には、期間中と同じく1日6単位でリハビリを受けることが出来ます。

介護保険で続ける

介護サービスの中には、通所リハビリと訪問リハビリがあります。そのほか施設に短期入所してリハビリを行う方法もあります。
医療保険と異なり、リハビリを行う日数に制限はありません。ただし保険内の支払いでは介護度によって月額の上限が変わるため、注意が必要です。

【在宅サービスの利用限度額】
介護度 利用限度額
要支援1 49,700円
要支援2 100,400円
要介護1 165,800円
要介護2 194,800円
要介護3 267,500円
要介護4 306,000円
要介護5 358,300円

参考:出版健康保険組合

保険外の自費で続ける

日数に制限もなく、自由に治療院を選んでリハビリを行うことができます。
自費だと高額な印象がありますが、中にはリーズナブルな自費訪問リハビリもあります。

維持期のリハビリ

脳卒中 リハビリ
維持期リハビリは病院での集中した訓練を終えて、退院してから自宅で行うリハビリを指します。
獲得した機能を可能な限り長期的に維持するために実施しましょう。

患者の身体にあわせて自宅のトイレに手すりをつけるなどの住宅改修のほか、どうすれば体力を低下させずに毎日有意義に過ごせるか、という精神面も含めた生活習慣を考える必要があります。
家庭内での役割を持つことや趣味を作って外出の機会を増やす、といったQOL向上を意識することはもちろん、足腰の虚弱化防止や関節拘縮の予防として、自宅でも出来る簡単な訓練はぜひ続けましょう。

足腰を弱らせないために

簡単かつ効果的な方法は、椅子からの立ち上がり練習です。椅子に座った状態から立ち上がり、再び座る動作を連続して行います。
座布団などで座面の高さを変えると、筋肉にかかる負担を調節することが出来ます。
絶対に無理はせず、少し疲れるくらいの回数で行うといいでしょう。

関節を硬くしないために

関節が硬くなる原因はさまざまですが、筋肉が短縮することで起こるパターンがあります。
腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)は特に短くなりやすい部分です。脳卒中患者の方の多くは、この筋肉が短くなって足先が下を向くため、爪先が地面にすれて歩きづらくなります。
ゆえに、腓腹筋を伸ばすストレッチを毎日続ければ、筋肉の短縮を予防することが出来ます。

脳卒中のリハビリで注意すること

脳卒中 リハビリ
脳卒中のリハビリを考える上で、考えておきたいポイントがあります。
それは「麻痺は回復するのか?」という点です。
脳卒中の後遺症でもっとも顕著なのが、手足の片麻痺です。麻痺は脳が障害を受けた部分と反対側に現れることが多く、運動をつかさどる神経がどれほどダメージを受けたかによって程度が変わります。
リハビリをすれば必ず麻痺が完治する……とは限りません。どこまで回復するかは、受けた障害の程度と治療時期・訓練に左右されるのです。
参考:片麻痺のリハビリ

今後ますます増加が見込まれる脳卒中患者。一人でも元気に自宅へ戻れるように、いま一度リハビリプログラムを見直してみてくださいね!

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