アキレス腱断裂のリハビリ、どうする?治療法から再発予防まで

The following two tabs change content below.
リハビリのお仕事Magazineでは、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などリハビリ職の方々に向けて情報を発信しております。 寄稿希望・取材依頼・お問い合わせなどございましたら、info@rehabili-shigoto.comまでどうぞ。

理学療法士として臨床現場に出ていると、一度くらいは「アキレス腱断裂」の患者さんと出会ったことがあるのではないでしょうか。
30~40代に多いとされていますが、スポーツ障害としてもメジャーであるこの疾患の年齢層は、10代~高齢者までと大変幅広くなっています。
どのようなアプローチをすれば後遺症も再発もなく、患者さんに元通りの生活を送ってもらえるのでしょうか?
今回は、そんな「アキレス腱断裂のリハビリ」についてご紹介いたします。

そもそも、アキレス腱断裂って?

アキレス腱断裂はその名の通り、足首の後ろ側にあるアキレス腱が完全に・もしくは部分的に切れてしまった状態のことを指します。
アキレス腱は腓腹筋とヒラメ筋の合同腱であり、人体の中では最も大きい腱。
かかとの骨にくっついていて、足首を足底側に曲げる・かかとにかかる荷重の調節をするはたらきがあります。
ここに強い負荷(スポーツ動作のジャンプ・ターン・踏み込みなど/階段を踏み外すなど)がかかると、アキレス腱断裂が引き起こされてしまいます。

10代から高齢者まで幅広い年齢の方に起こる可能性がありますが、30~40代の受傷が特に多いです。
50代以上になると老化によってアキレス腱の弾性が衰え、転倒・転落でも受傷してしまうケースがあるため注意が必要です。

アキレス腱断裂の治療

アキレス腱断裂 リハビリ
アキレス腱断裂を治療するにあたって、保存療法と手術療法のどちらかを選ぶこと出来ます。
受傷後早期に治療を始めれば、どちらにしても半年後の経過は変わらないとされています。
しかしそれぞれにメリット・デメリットがあるため、状況に合わせて選択するべきでしょう。

保存療法

保存療法には、ギプスを8週間巻いて固定するギプス療法と、足関節の背屈を制限する装具を用いた装具療法があります。 
特に装具療法は経時的な局所の観察が可能で、断裂したアキレス腱が修復していく過程を画像解析するのも容易なため、保存療法中の合併症を予防しやすくなっています。

ただし長期間患部の固定や体重をかけない状態の保持を必要とするため、筋力や関節可動域の回復は悪くなってしまいます。
装具療法における早期運動療法で筋力低下を防止することも可能ですが、患者さんが自宅で装具を外してしまったり、足に体重をかけてしまったりすると、再断裂のリスクが高くなってしまいます。

手術療法

手術療法では筋力低下・関節可動域制限といった二次的障害が少ないため、特にアスリートなどの場合はこちらを選ぶことがほとんどです。
早期リハビリテーションも可能であるため、復帰期間の短縮と機能回復を期待出来ます。再断裂のリスクを減らすことも可能です。

ただし手術療法の場合は、術後感染に注意する必要があります。
アキレス腱には血流が少ないため、感染するとなかなか治りにくい可能性があるのです。

リハビリ手法

アキレス腱断裂 リハビリ
アキレス腱縫合手術後は、一定期間ギプス固定が必要となります。
しばらくの間足を動かせなくなってしまうため、以下のような症状が生じます。

  • ・筋線維の萎縮による筋力低下
  • ・足関節の可動域制限
  • ・アキレス腱の柔軟性低下
  • ・血行不良による浮腫

手術後のリハビリは、こうした諸症状を防止する重要な役割を果たします。
歩行訓練に至るまでの、ギプス固定前後のリハビリについて見ていきましょう。

ギプスを取る前

アキレス腱が断裂している患部は固定して安静を保たなければなりません。
しかし他の部分はしっかり運動して、筋力を落とさないようにすることが大切です。
ギプス固定期間中に筋力を落とさないようにすることが、その後の回復に大きく影響します。

1.SLR(下肢伸展挙上運動)

仰向けに寝て、健側の脚の膝を立てます。
患部側の足を床から20~30cmの高さに上げて、5秒間静止し、ゆっくりと下ろします。

2.ヒップアブダクション

患部側の足を上にして、爪先が前を向くように横に寝ます。
患部側の足を床と平行になるまで持ち上げます。

3.内転ボール

椅子やベッドに腰かけて、膝の間にボール(クッションでも可)を挟んで押し潰します。

4.足指運動

足の指でタオルを手繰り寄せたり(タオルギャザー)、ビー玉を掴んだりします。
アキレス腱周りの足指の筋肉を強化して動きを改善したり、足の感覚を取り戻したりするのに効果的です。

ギプスを取った後

アキレス腱断裂 リハビリ
手術後8週間目辺りから、固定解除後のリハビリを始めていきます。
硬くなった足首の動きを元に戻すことや、弱ったすね・ふくらはぎの筋力をつけることが目的です。
再断裂のリスクはギプスを取った後がもっとも高いので、患部に負荷をかけないよう、慎重に取り組んでいきましょう。

1.ゴムチューブを用いる運動

足にゴムチューブを引っかけて負荷をかけながら、足の背屈運動や底屈運動を行って筋力を強化します。

2.カーフレイズ

足首の関節可動域がほぼ回復していれば、手術後10週目からはカーフレイズを行っていきましょう。
カーフレイズは下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)のもっともオーソドックスな筋力トレーニング方法で、背伸びをするだけの手軽なものです。
断裂部分に負荷をかけないよう、はじめは手すりに掴まって少し踵を上げるくらいで行います。
少しずつ荷重して、手すりを頼らなくても出来るようにするのが望ましいですね。

3.バランスボード

手術後12週目以降には、バランスボードを使って感覚訓練を始めましょう。
両足でバランスをとりながら、足の感覚を徐々に戻していきます。
はじめのうちは両足でボードに乗りますが、片足で乗れるようになるまで訓練するのが望ましいです。

4.ハーフスクワット

手術後14週目辺りになると、ようやく足を動かせるようになります。
それまで固定していたアキレス腱を伸ばすことについて、患者さんは怖がってしまうかもしれません。
リハビリを通じて恐怖感が薄くなってきたら、徐々にハーフスクワットで筋力トレーニングを行いましょう。

5.水中歩行トレーニング

アキレス腱断裂が完治するまで、リハビリでは極力アキレス腱に負担をかけないようにすることが理想です。
その点において、水中歩行トレーニングはぜひ行うべき運動療法であると言えます。
水中歩行は患部にかかる負担を少なくしつつ、陸上での訓練よりも運動量を確保出来るメリットがあります。

リハビリの流れ

アキレス腱断裂 リハビリ
アキレス腱の縫合手術後は、筋肉の萎縮・筋力低下・可動域制限といった機能低下を防ぎながら復帰を目指すことが目標になります。
アキレス腱の強度を保ちながら、より早く・確実に日常生活やスポーツ活動を再開させることが重要です。

手術後のリハビリの流れは、おおむね以下のようになっています。
理学療法士と患者さんとでしっかり話し合って、プログラムを決めていきましょう。

【アキレス腱断裂 手術後のリハビリ】
手術後 リハビリ
手術当日~5日 ギプスで足関節を固定
6~10日 ギプスにヒールをつけ、歩行器・杖を利用した歩行訓練を開始
痛みの状況にあわせて全荷重歩行が許可されます
2週間 ギプスを外し、アキレス腱装具を利用した自動ROM訓練を開始
3週間 他動ROM訓練・抵抗運動を開始
足関節の動きに応じて、装具のかかとを低くしていきます
アキレス腱と繋がっているふくらはぎの筋肉トレーニングも行いましょう
1ヶ月 装具なしでの歩行訓練を行います
6週間 両足でのつま先立ち(ヒールレイズ)訓練を開始
装具の完全除去を目指します
8週間 素足での段差昇降訓練を開始
2ヶ月 片脚でのつま先立ち訓練や、ジョギングなどの軽い運動を開始

その後、術後4~5ヶ月で徐々に運動強度を高めていくのが基本的な流れとなります。
激しいスポーツ競技を実践しているアスリートの場合、完全な復帰には5ヶ月ほどの期間が必要となります。

再発予防

アキレス腱断裂 リハビリ
アキレス腱断裂を再発させないためには、足底板やヒールパッドの使用によってかかとを高くして、腱への伸展力を軽減することが効果的です。内側ソールウェッジやテーピングも有効な方法として挙げられます。

また、下腿と足底のストレッチはウォーミングアップ・クーリングダウンの際、念入りに行うようにしましょう。
トレーニングを開始する前にはホットパックや超音波などの物理療法によって下腿筋を十分にほぐし、トレーニング終了時にはアイスマッサージで局所の炎症を予防します。

まとめ

アキレス腱断裂のリハビリで注意することは、アキレス腱だけ伸ばさない!ということ。
腓腹筋とヒラメ筋だけを伸ばすとアキレス腱は緩くなり、その他の皮膚や足指の筋肉・脂肪組織が固くなります。
他の組織の固さに偏りがないように運動をしていきましょう。

スポーツ障害として頻繁に起こるアキレス腱断裂。患者さんの選手生命に傷がつかないよう、しっかりサポートしていきましょう!

リハビリのお仕事」では、スポーツリハビリに注力するクリニックの求人も多数取り揃えております。
スポーツ障害に悩む患者さんに寄り添って、効果的なリハビリやトレーニングでサポートしていきたいならぜひご覧ください。
無料登録者限定で、キャリアアドバイザーからお得な情報もお届けしていますよ!

気になった方は、以下のバナーからどうぞ!

↓スポーツリハビリに特化した、好条件の非公開求人はこちら↓

この記事が気に入ったら
いいね!

最新記事をお届けします。

LINEで購読