呼吸リハビリテーションとは?目的・方法・効果について

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呼吸リハビリテーションとは、けがや病気によって呼吸器に障害が生じた患者さんに対し、機能回復や悪化防止を促すためのリハビリテーションです。

呼吸器とは呼吸をする時に使う部分のことで、空気の通り道である鼻・喉・気管支・肺を指します。
呼吸の際に使う胸や腹部の筋肉に対するアプローチも、呼吸リハの対象。
医師や看護師だけでなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士も一丸となって、患者さんの自立した生活をサポートしていきます。

今回の記事では、「呼吸リハビリテーション」について詳しく説明してまいります。

呼吸リハビリテーションの重要性

呼吸リハビリテーション
呼吸器疾患を持つ患者さんは、血液中の酸素と二酸化炭素を出し入れする機能が低下してしまっています。
そのため少しの運動ですぐ息切れを起こし、思うように動けなくなり……日常生活が困難になってしまうのです。
運動も満足にできなくなってしまうため、体力もどんどん低下。結果、寝たきりになってしまうことも……。

そうした呼吸器疾患を持つ患者さんの「息苦しさ」を解消するために、「呼吸リハビリテーション」は必要とされています。
呼吸療法は今日の日本で、重症患者管理のひとつとして重要視されているのです。

呼吸リハビリテーションの対象は?

呼吸リハビリテーションの対象となるのは、主に以下のような状態の患者さんです。

  • ・重い肺炎などによって生じた肺損傷
  • ・COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺線維症、間質性肺炎などの慢性的な疾患
  • ・慢性的な呼吸器疾患が急に悪化した時
  • ・気管切開や人工呼吸管理を受けている時
  • ・脳血管障害・筋ジストロフィーなどの神経筋疾患により、呼吸が上手くできない
  • ・肺がん・肺移植などの手術時
  • ・消化器の病気や咽喉頭の手術前後

呼吸リハビリテーションの方法

呼吸リハビリテーションの方法はさまざまです。
患者さんの状況にあわせて、チームの医療職とも相談しながらプログラムを組んでいきましょう。

1.ストレッチを行う

呼吸リハビリテーション
上半身の筋肉を使って呼吸していると、胸郭の動きが制限されて息切れの原因となってしまいます。
呼吸筋をストレッチすることで胸郭を広がりやすくして、楽な呼吸が出来るようにしましょう。

息を吸いながら身体を動かし、息を吐きながら元の位置に戻す運動が主になります。
首の前後運動や肩や腕の上下運動、身体をねじったり伸ばしたりする体幹運動など、呼吸にあわせてゆっくりと筋肉を伸ばしましょう。
痛みのないリズミカルな運動を心がけます。

2.筋力トレーニング

呼吸リハビリテーション
呼吸器疾患によって息切れが頻繁に起こると、日常生活や運動に対する意欲が低下してしまいます。
それで運動不足になって筋肉が衰えて、少し動いただけでまた息切れを引き起こしてしまう……という悪循環に、陥ってしまうケースも少なくありません。
活動意欲を高めて息切れと運動不足の悪循環を断ち切ることが、QOLの向上にもっとも効果的であると言えます。

椅子に座って爪先・膝・腿を上げたまま数秒キープするなどのトレーニングを、無理のない範囲で行うことが大切です。
健康状態や食後の時間経過に留意しましょう。
目安としては「薄く汗をかいて、会話を続けられる程度」の運動量がいいですね。

修正ボルグスケール

呼吸リハビリテーション
ストレッチや筋力トレーニングを行う際には、修正ボルグスケールを目安にするとよいでしょう。
修正ボルグスケールは、運動時の負担を数字と簡単な言葉で表現したもの。
人によって違いがある運動のきつさ・感じ方を標準化しています。
「何も感じない」0から「非常に強い」10までの数字で表します。
運動の目安は「多少強い」4~5で、それ以上の負荷を患者さんが感じたら、運動を中止するようにします。

3.排痰の練習

呼吸リハビリテーション
痰は肺の中の分泌物や吸い込んだ空気中の異物・細菌が、気道の粘膜に付着したものです。
通常であればほとんど吐き出さないものですが、感染や炎症によって分泌物が増えたり、呼吸運動の減弱による気道内気流低下が起こると、痰が増加してしまいます。
溜まった痰は気道を狭めて、息切れを引き起こす原因に……。息切れ軽減のためにも、排痰もしっかり練習しておく必要があります。

ハフィング

喉元へ上がってきた痰を排出するのには、ハフィングと呼ばれる方法が効果的です。
声を出さずに「ハッ!ハッ!」と強く息を吐くことで痰を吐き出します。
息を吐く時に胸を圧迫すると、勢いよく排痰することが出来ます。

4.呼吸法の習得

呼吸リハビリテーション
息を吸ったり吐いたりする換気能力を向上させることが目標です。
呼吸に必要な筋肉を効率よく使えるようになれば、運動した後やパニックに陥った時の息切れも回避することが出来ます。
まずはリラックスして、楽な体制で呼吸法の練習を始めましょう。

腹式呼吸

お腹を使った呼吸法になります。横隔膜を使うことで、必要のない過度な運動を減らして効率よく呼吸出来ます。
呼吸筋のリラクゼーションのほか、肺のガス交換の増加を助ける効果があります。

【方法】

  1. 仰向けに寝て、手を胸と腹部に置きます。
  2. 「1.2」の拍子で鼻から息を吸います。その時に、腹部が膨らんで手が持ち上がる感覚を意識しましょう。
  3. 「3.4.5」の拍子で口から息を吐きます。手で腹部を軽く押さえるとよいです。

慣れてきたら、電話帳などの重しを身体に乗せて行ってもよいでしょう。
無理のない範囲で、毎日少しずつ行っていきます。

口すぼめ呼吸

その名の通り、口をすぼめて息を吐く呼吸法です。
慢性的な呼吸器疾患を持つ患者さんは、空気の通り道である気道が塞がりやすい傾向にあります。
口すぼめ呼吸には気道を広げる作用があるため、気道の閉塞が改善し、息を吐きやすくなるのです。
肺胞を膨らませておく作用もあるので、効果的な呼吸が出来るようになります。

【方法】

  1. 鼻から息を吸って、口から吐き出します。その時に口をすぼめますが、ゆっくり優しく吹くようにしましょう。
  2. 2.倍の時間をかけて息を吐きましょう。強く吹きすぎたり、息切れを感じるほどの無理をするのは禁物です。


呼吸法習得のためには、毎日時間をかけてゆっくりと、身体を楽にして練習することが重要です。

5.激しい息切れが起こった時は……

呼吸リハビリテーション
患者さんがパニック状態に陥り、激しい息切れが起こった際には、まず落ち着いて口すぼめ呼吸をさせる必要があります。
まずは呼吸を整えることが大切です。

傍に椅子があれば腰かけて、前かがみの姿勢で口すぼめ呼吸を指示します。テーブルなどがあれば、もたれかかってもいいですね。
椅子がなければ頭の前で腕を組む姿勢をとり、壁などに寄り掛かります。

呼吸リハビリテーションの効果

呼吸リハビリテーションの実施によって、患者さんに以下の効果をもたらすことが証明されています。

  • ・呼吸困難感の改善
  • ・生活能力・体力の改善
  • ・不安や抑うつの軽減
  • ・入院期間の短縮
  • など

特に下肢の筋力トレーニングは、息切れの改善に効果的であることが分かっています。
自分の足で動けるようになること、それがQOL向上に繋がるのです。
また、胸・腹部の全身麻酔手術を受けた患者さんの中には、術後上手く痰を出せずに肺炎を起こしてしまう方もいます。
手術前から呼吸筋のストレッチや呼吸練習・排痰法を習得することで、それを予防することも出来ます。

呼吸リハビリテーションの目的

呼吸リハビリテーション
呼吸リハビリテーションの目的は、患者さんの「呼吸困難感を軽減すること」と「体力面の強化」にあります。

そのためには、

  • ・胸郭や呼吸に使う筋肉の柔軟性を保つ
  • ・呼吸に関連する筋力を向上させる
  • ・下肢の筋力を強化する
  • ・有酸素運動を行う
  • ・排痰の方法を覚えて痰を出しやすくする
  • ・適切な呼吸方法を覚える

といったポイントを意識してプログラムを組む必要があります。

編集部より

呼吸リハビリテーションで大切なのは、患者さんが退院した後も継続してリハビリテーションを行うこと。
症状にあわせた軽めの運動やストレッチによる呼吸筋の強化なども、患者さんが日常生活の中で取り組めるよう指導するのが望ましいです。

これから高齢社会へ進んでいく日本において、今後呼吸リハビリテーションは確実に需要を高めていくでしょう。
ぜひこの機会に、呼吸リハビリテーションについてもう一度振り返ってみてくださいね!

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