「深部腱反射」のメカニズムとは?亢進・低下が示す疾患

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膝の皿の下をコンと叩いたら、脚が勝手に跳ねた……。
そんな経験に心当たりはありませんか?子供の頃に遊びでやっていた、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自分の意思とは関係なく身体が動くのは不思議な感覚ですよね。

その現象の名前は「深部腱反射」。
リハビリ職を目指す学生であれば、実習で必ず習うものですね。
医療の臨床現場ではこの深部腱反射を使って、対象者の身体に病気があるかどうかを確かめることが出来ます。

今回は「深部腱反射」について詳しく解説いたします!

深部腱反射とは?

深部腱反射
深部腱反射(DTR:Deep Tendon Reflex)とは、人体が持つ生理的な反射の代表格です。
太い骨格筋に繋がる腱を叩くと、一瞬遅れて筋が無自覚に収縮する反応を示します。

深部腱反射は外から急な力がかかることで筋が損傷するのを防ぐ、生理的な防御反応です。
弛緩した筋は損傷しやすいため、外力がかかった際にすばやく筋を緊張させているのです。

人間の身体に備わっている反射は、他にも
・「表在反射」(皮膚・粘膜に刺激が加わって、筋が反射的に収縮する)
・「病的反射」(錐体路障害によって出現する、正常では認められない反応)
などが挙げられます。

深部腱反射のメカニズム

深部腱反射
深部腱反射のメカニズムは以下のように、感覚器→求心路→中枢→遠心路→効果器とモデル化することができます。

  1. 筋紡錘が刺激される(感覚器)
  2. 神経線維に刺激が伝えられる(求心路)
  3. 脊髄から直接、骨格筋を支配する神経細胞が刺激される(中枢・遠心路)
  4. 筋収縮を起こす(効果器)

先述の通り、深部腱反射は弛緩した筋が損傷しないように起こる防衛反応です。
つまりこの反射が起こるのに、脳は関与していません。脊髄レベルで反応して、身体を動かしています。

深部腱反射は手軽に誘発させられて、かつ運動系障害や末梢神経障害の診断の目安にもなるため、神経学的検査として医療現場では非常に頻繁に使われています。

深部腱反射を観察しやすい部位

膝蓋腱反射
深部腱反射が分かりやすい部位として、以下のものが代表的です。

  • ・大腿四頭筋の膝蓋腱(下腿前面、膝蓋骨と脛骨の間隙)
  • ・下腿三頭筋のアキレス腱(下腿後面、かかとより近位
  • ・上腕二頭筋の遠位腱(肘窩の内側)
  • ・上腕三頭筋の遠位腱(上腕後面、肘頭より近位)
  • ・腕橈骨筋の遠位腱(前腕外側の遠位)

この中では特に1番目の膝蓋腱反射が有名ですね。
冒頭で触れた「膝を叩いて脚が跳ねる」反射も、膝蓋腱反射のことを指します。

深部腱反射による診断

深部腱反射

深部腱反射の判定は、

  • ・量的変化(強くなっている・弱くなっている・反射が起きないなど)
  • ・質的変化(筋収縮のすばやさ・大きさ・広がりなど)
  • ・左右の反射の差

などを見て決定されます。

腱反射の状態を見れば、問題の起きている部分が反射中枢より上位か下位かを判断出来るのです。

深部腱反射の病的反応と、予想される疾患

深部腱反射

反射の亢進(=過剰に強くなっている)

深部腱反射が極端に強く出た場合、反射中枢より上位の錐体路障害が起きていると予想されます。

主な疾患 脳卒中や脳梗塞といった脳血管疾患など

腱反射は通常、上位運動系(錐体路:脳や延髄、脊髄側索など)の神経細胞によって制御されています。
そのためこれらの運動系に障害があった場合、抑制がなくなって反射が強く出るのです。
麻痺がある時の診断においては重要なポイントで、脊髄を含めた中枢側に原因がある運動障害と判断できます。
反射の強さにも個人差がありますが、左右差があって明らかにどちらかが強い場合は病的な亢進と解釈してよいでしょう。

反射が強すぎるのは、円滑な日常生活動作(ADL)を阻む要因となります。
後に関節周りの筋肉組織を硬直化させることにも繋がり、関節拘縮が発生しやすくなるため、注意が必要です。

反射の低下・消失(=過剰に弱くなっている、なくなっている)

深部腱反射が極端に弱く出た・あるいは出なかった場合、反射中枢より下位の反射弓に異常が起きていると予想されます。

主な疾患 頚椎症、ヘルニアなどの腰部疾患、糖尿病による全身性神経疾患など

前角細胞(運動神経を骨格筋に送る神経細胞)の障害や末梢神経の障害、あるいは筋自体の疾患など、反射弓を構成するいずれかに異常をきたすと深部腱反射は出にくくなります。

腱反射検査をするときのポイント

深部腱反射
深部腱反射のテストをする場合、打腱器というハンマーを使って腱を叩きます。
ハンマーはバランスのよい部分を軽く持ち、適切な強さとスピードで手首のスナップをきかせながら叩打することが大切です。
強く握ったりスナップを上手く使えなかったりすると、深部腱反射を出せなかったり、叩く力が変わって正しい評価が出来なくなります。

まずは患者さんを楽な姿勢にさせて、緊張しないようオリエンテーションを行います。
患者さんが緊張していたり、特に検査部位に意識を集中していると、深部腱反射は出現しにくくなるためです。
そうした際には患者さんと会話をして注意をそらしながら検査をしたり、無関係な部分を運動させたり(=ジェンドラシック法)するといった方法があります。

検査する筋肉を一定の肢位にしたら、ハンマーで軽く叩きましょう。

編集部より

腱反射検査は神経疾患を持つ患者さんに対して、必ず必要となるものです。
もちろんこれだけで疾患を判断出来るわけではありませんが、どの部位に障害があるのかを確かめるのに、有用であるのは事実。
患者さんに対しても、この検査が何を示すものなのかきちんと説明しておくとよいでしょう。

スキルアップを図るには……

PT・OTは日々、さまざまな検査方法や評価方法を臨床現場で扱うことになります。
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