脳卒中片麻痺のリハビリ 麻痺は回復するのか?

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手足の片麻痺は脳出血や脳梗塞の後遺症として、もっとも患者さんの身体に残りやすいものです。
大脳を支えている筋肉や血管が傷つくと、大脳皮質の運動野から身体に働きかける経路が障害を起こします。
すると筋肉の収縮が低下し、自分の意思で身体を動かすことが難しくなるのです。
片麻痺はそうした数ある麻痺の種類のうち、身体の左右どちらか側の顔から手、上下肢にかけて麻痺を起こしている状態を指します。

しかし片麻痺が残ってしまったからといって、それがもう治らないというわけではありません。
麻痺の程度にもよりますが、発症直後からリハビリを始めれば、運動機能が回復することもあります。

今回は、「片麻痺のリハビリ」についてご紹介いたします。

リハビリで回復できる期間

片麻痺 リハビリ 時期
片麻痺の回復過程には個人差があり、年齢・脳の障害部位とその大きさ・意識障害の有無によって左右されます。

麻痺の回復は一般的に、発症から2~3ヶ月あたりがピークとされています。その後は緩やかな回復を辿り、発症から6ヶ月~1年でほぼ打ち切り状態に。
つまり半年を過ぎた時点で麻痺が残っている場合、そこから完治することはほぼ不可能といえます。

麻痺を残さないためには、発症してからすぐ積極的にリハビリすることが重要です。

急性期:発症直後~1ヶ月
まず治療・診断が行われます。
寝たきり状態が続くと二次的に廃用症候群を引き起こすため、その予防が最優先となります。
回復期:1ヶ月~6ヶ月目
症状が固定化するまでの期間で、日常生活動作(ADL)の回復を目指します。
回復期リハビリテーション病院などで、集中的なリハビリに取り組みましょう。
維持期:6ヶ月目以降~
回復期リハビリテーションで取り戻した機能が低下しないよう、維持・向上していくリハビリへシフトします。
デイサービスや訪問リハビリを利用して、生活の質(QOL)を重視したリハビリに取り組みます。

維時期のリハビリには理学療法士や作業療法士によるものだけでなく、食事や排泄といった日常生活動作も含まれています。
介護者が何でもサポートしてしまうのではなく、患者さん自身に出来ることを自分でやってもらうのが最大のリハビリになります。
回復期を過ぎてしまったからといって、リハビリを止めてはいけません。
適切な時期に、適切なリハビリをすることが重要です。

急性期の片麻痺のリハビリ

廃用性症候群を予防するリハビリとして、具体的に、

  • ・肺炎、褥瘡、拘縮などの新たな障害・問題が発生しないようにする
  • ・呼吸、循環、筋力、認知機能など、身体的能力や精神機能の低下を防ぐ

ことを優先します。
また早期から積極的にADLの向上を目指す機能訓練を行うことで、麻痺が残る可能性も下げることが出来ます。
長期的に見てQOLの向上を図ることが最終目標です。

1.ベッドでの良肢位保持・体位交換

片麻痺 リハビリ 急性期
麻痺、あるいは意識障害のために寝返りが打てない患者さんには、良肢位保持と体位変換を促します。
疼痛・褥瘡・拘縮などの予防を行いましょう。

疼痛

特に患部側の肩関節は周囲の筋肉が麻痺して支持性・固定性を失ってしまい、疼痛が出現しやすくなるため、ポジショニングがとても重要です。
寝返りができる患者さんでも、感覚障害によって麻痺側上肢を無理に動かす場合も多いです。良いポジションを指導しましょう。

褥瘡

褥瘡(床ずれ)が起きやすい部位は、寝ている姿勢でも変わってきます。

【仰向けで寝ている場合】
後頭部 肩甲骨
かかと お尻(仙骨部)
【横向きで寝ている場合】
腰骨(腸骨部) 太もも(大転子部)
くるぶし

これらの部位には長時間圧がかからないよう、クッションやタオルを敷くなどしてポジションを調整しましょう。

拘縮

自発的な動きを制御している脳や脊髄が損傷されると、筋硬直などの「痙性」が現れます。
痙性は筋緊張の増加や急激な筋収縮、筋肉の痙攣、関節の固定といった症状を引き起こし、リハビリテーションや日常生活活動を妨害してしまうのです。

特に筋肉や関節の拘縮が起きると、以下のような姿勢の変化が現れやすくなります。

仰向けで寝ていると起こる姿勢変化
頸部伸展位 首がまっすぐ伸びている状態。気道と一直線になるため誤嚥が起きやすくなる
腰椎前弯 腰椎が過度に前へ曲がって、腰が反っている状態
股・膝関節屈曲位 股関節・膝関節が曲がっている状態
足関節底屈 つま先が下を向き、足の甲が伸びている状態

同じ姿勢でいると筋緊張を起こしてしまうので、それを和らげて拘縮を予防するためにも、2時間程度ごとに肢位を変えることが大切です。

2.可動域訓練

片麻痺 リハビリ
可動域訓練は関節や筋肉が固まってしまうことを防ぐためのものです。
主にストレッチやマッサージといったものが挙げられます。
患者さんに意識障害がなければ、自分で動いてもらったり、療法士がサポートして動いてもらう運動を行います。
意識障害がある場合は療法士の手によって体幹、骨盤帯も含めた運動を行いましょう。
特に麻痺側の肩関節は痛みが出やすいので注意が必要です。

可動域訓練の際には以下のことを意識して指導してみましょう。

  • ・抵抗のない範囲で行う
  • ・強い痛みを伴う急性炎症の症状がある場合は安静にする
  • ・体位を変換する時、移乗動作の時は上肢の管理を促す
  • ・下肢の運動であっても、立位や座位での運動であれば、常に上肢を意識してもらう運動を心掛ける
  • ・上肢に対して身体を動かすだけでなく、動きに上肢がついてくるように、上肢を意識して指導する
  • ・座位でいきなり急な肩関節屈曲運動をするのではなく、手をベッドにつけて徐々に荷重するなどの運動で、上肢だけに負荷がかかる運動をできるだけ制御する

3.急性期におけるリハビリの留意点

片麻痺 リハビリ
急性期は病態も安定しないため、脳卒中の進行が止まっていることや意識レベルがしっかりあること、起立性低血圧がないことを確認してリハビリを行いましょう。

患者さんの様子をしっかり確認し、容態によっては一時中断することも重要です。

回復期での片麻痺のリハビリ

1.座位訓練

片麻痺 リハビリ
急性期から回復期への移行期間に、ベッドに座る練習をします。
早期離床は急性期のリハビリの鉄則。回復期リハビリテーションにステップアップするためには、座位を保持する訓練は欠かせません。

座位訓練では両足底を床に着けて、麻痺側に荷重を乗せる訓練を行うことで、麻痺側の体幹が重力に抗う伸展運動を促通していきます。
荷重訓練は体重を移動させる訓練。この動作が出来なければ、人間が生活する上で必要なおおよその姿勢をとることが出来ません。
立位や座位も、抗重力位に含まれるのです。

訓練を始めてから15分経ってもバイタルに変化がなければ、立位練習に移行していきます。

2.立位訓練

片麻痺 リハビリ

立ち上がり訓練

まずは麻痺側への荷重を促しながら、立ち上がる訓練を行っていきます。
多くの患者さんの場合、麻痺側の下肢が伸びきってしまっているため、普通に立ち上がってもらうと麻痺側の下肢に体重が乗っていません。
療法士が患者さんの下肢を引きつけた状態で、反復して行います。
重度の麻痺の場合は膝がガクッと折れてしまわないよう、下肢装具を付けて行うこともあります。

立ち上がる途中の膝を軽く曲げた姿勢でのでの保持や、ゆっくり座る動作を意識するなどのバリエーションがあります。

立位保持訓練

骨盤帯の周りの筋肉がしっかり働くようになってきたら、療法士が骨盤帯をわざと左右に移動させたり、患者さん自身で移動させたりして、姿勢が崩れても踏ん張れる練習を行います。
身体の重心は腰の下あたりにあると言われています。つまり骨盤の適切なコントロールが、立位練習においてとても重要なのです。
姿勢制御は最終的に無意識で行われることを目指しますが、初めは療法士の介助と、患者さん自身の意識的な修正が必要です。

片脚立ち訓練

骨盤帯がそれほど移動せずに体重をかけられるようになったら、次は麻痺している側の脚を支えに片脚立ちで練習を行います。
片脚立ちになると二本の脚に分散していた体重が全てかかるため、より強い負荷になります。
麻痺側と反対の足を一瞬地面から浮かせる動きを繰り返し、股関節の周りの運動をさらに促して、骨盤がより安定することを目指します。
またこの訓練によって、膝周りの筋肉も充分な収縮が促されます。
片脚立ちで骨盤を制御できるようになってきた患者さんは、膝関節周囲の筋肉も強くなるため、装具を外しても膝折れしにくくなるようです。

3.歩行練習

片麻痺 リハビリ
きちんと麻痺側の下肢にも体重が乗るようになっていれば、歩行練習を繰り返すことで、麻痺側下肢へ荷重する感覚がより強化されていきます。
しかしその感覚が身に付いていないまま歩行練習をすると、「麻痺側の下肢に荷重しないで歩く練習」を行っていることになってしまい逆効果です。
療法士がサポートにつき、注意して観察しましょう。

ステップ練習

立位姿勢から、麻痺していない方の足を前に踏み出す動作を繰り返すのがステップ練習です。
支持している麻痺側の足に、荷重がしっかりと乗っている感覚を掴みます。

ステップ練習は動的な荷重練習で、歩行動作によく似ています。
足が骨盤よりも後ろにある状態で荷重ができるようになると、歩行中にも同じ姿勢を取るため、歩行中に麻痺側の下肢にも体重をしっかりと乗せることができるのです。
片脚立ちよりも実戦向きな練習と言えます。

踏み台昇降練習

踏み台に足を乗せたり降ろしたりする練習です。日常生活でも段差に乗ったり、階段上り下りをするシーンは避けられませんよね。
段差を乗り越える分、踏み出した足の滞空時間を長くしなければならないので、負荷がかかります。
慣れてきたら徐々に踏み台(段差)の高さを上げていき、より滞空時間を延ばしていくと効果的です。

維持期での片麻痺のリハビリ

片麻痺 リハビリ
立ったり座ったり、歩いたりといった訓練が終わってからは、退院して日常生活に戻ってリハビリを続けることになります。
食事や排泄、外出といった日常生活のすべてがリハビリになりますので、出来るだけ患者さん自身に出来ることをしてもらいましょう。
維持期リハビリテーションの詳細はこちらの記事をご参考ください。
『維持期リハビリテーションとは?』

編集部より

高齢社会に向かっている日本では、これから脳卒中や脳梗塞に罹る患者さんの数も増えていくものと思われます。
一命をとりとめた高齢者の方々が再び元気に生活していくために、理学療法士や作業療法士だからこそ出来るサポートがあります。
ぜひこれを機に、リハビリテーションを振り返ってみてくださいね!

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