絶対に欠かせない!パーキンソン病のリハビリ

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1000人に一人の有病率を誇る「パーキンソン病」。
これは脳内のドーパミンが欠乏することによって、脳からの運動指令がうまく伝わらなくなり、身体が動きにくくなってしまう疾患です。
神経変性疾患のひとつであり、アルツハイマーに次ぐ高い発症率を誇ります。
50代以降の高齢者は特に発症率・有病率が高いようです。

現在の医学ではパーキンソン病を完治させる・進行を食い止めることは出来ません。
ゆえにパーキンソン病治療においては、「どのように進行を遅らせて、症状を改善するか」が重要となります。
そのため、パーキンソン病には機能改善のリハビリテーションが欠かせないのです。

今回の記事ではそんな「パーキンソン病のリハビリ」について、細かく説明いたします。

パーキンソン病の主な症状

パーキンソン病
パーキンソン病の主な症状は、「振戦」「筋固縮」「無動」「姿勢反射障害」の4つです。

安静時振戦

手足や体幹が震える振戦は、パーキンソン病の初期症状としてよく現れます。
動いている時や眠っている時は目立たず、症状が消えることもありますが、一定の姿勢になると発現するのが特徴。
上肢・足・下顎に現れることが多いようで、精神的な緊張がある場合にはますます症状が悪化します。

筋固縮

筋肉がこわばってしまっている状態で、早い段階から頸部や四肢に発現します。
顔面の筋肉が固まってしまうと、表情の変化が乏しくなる「仮面様顔貌」になってしまうことも……。

無動

寡動・動作緩慢とも言います。
筋固縮により動きが遅くなってしまう症状のことですが、筋肉が固まってしまったこととは関係なく発現することもあります。
すくみ足やベッドでの体位変換困難、声や書く文字が小さくなる症状も併発します。

姿勢反射障害

姿勢保持や平衡反応・立ち直り反応が障害されることで、姿勢のバランスがとりにくくなります。
ふらついた時でも脚をスムーズに出すことが出来ないので、転倒の原因となってしまいます。
姿勢反射障害によって起きる歩行障害としては、以下のものが挙げられます。

  • すくみ足
  • 突進症状(立ち止まれなくなる)
  • 小股でのすり足
  • 体幹の前傾姿勢(胸郭の可動域を低下させてしまうため、拘束性換気障害の原因に)

その他にも、頻尿や便秘、睡眠障害や抑うつといったものも、パーキンソン病の症状として見られます。

パーキンソン病の診断基準

パーキンソン病 リハビリ
パーキンソン病の診断基準は、以下の通りです。

1 4つの主症状のうち、2つ以上を確認できる
2 経過が進行性
3 CTやMRIで明確な異常を確認できない
4 感染・薬物・中毒によるパーキンソン病を除外できる
5 L-dapaもしくはドーパミンアゴニストで症状が改善する

パーキンソン病の重症度

パーキンソン病 リハビリ
パーキンソン病はその症状に応じて、五つのステージに分類されています。

【パーキンソン病の重症度】
Stage 状態
1 片側の手足に軽い障害が出る
2 両側に障害があるがバランスはとれる
3 バランスが悪く方向転換が上手く出来ない。
押されるとふらついてしまうが、日常生活での介助は不要
4 歩くことや立つことに介助は不要だが、日常生活には介助が必要
5 日常生活のほとんどに介助が必要

パーキンソン病の治療

パーキンソン病 リハビリ
パーキンソン病の治療は、「薬物治療」と「リハビリテーション」の二本柱によって行われます。

薬物治療

薬物療法では、ドーパミンを補って身体を動かしやすい状態に維持します。
ただし長い目で見ると、薬の作用は徐々に低下していってしまいます。
早い段階から、リハビリを並行して行っていくべきでしょう。

リハビリテーション

リハビリテーションは、身体機能を改善させるために早期から始めるべきです。
プログラムは、以下の5つのニーズをまんべんなく満たすメニューにするとよいでしょう。

  • ・体力維持:有酸素運動
  • ・筋肉や関節の柔軟性維持:ストレッチ
  • ・筋力維持:筋力トレーニング
  • ・動作練習:歩行訓練など
  • ・呼吸訓練

リハビリの方法

それでは、パーキンソン病の患者さんにどのようなリハビリアプローチをしていけばいいでしょうか。
具体的なメニューをご紹介いたします。

運動療法

パーキンソン病 運動療法
パーキンソン病のリハビリには、関節運動、ストレッチ、筋力トレーニング、バランス訓練といった運動療法が欠かせません。

関節運動
関節や筋肉が硬くなってしまうのを防ぐために、理学療法士が患者さんの関節を動かします。
ストレッチ
全身の筋肉を伸ばすストレッチを行います。
筋力トレーニング
立つ・座るといった動作を繰り返し、生活を送る上で必要な筋力を維持するための訓練を行います。
バランス訓練
バランスを崩して転倒することを予防するために、膝立ちでの移動や片足立ちなど、バランス能力を維持するための訓練を行います。

パーキンソン体操

体力の低下を防ぎ、筋肉や関節を柔らかくして、動作を滑らかにするための運動です。

顔の運動

顔の筋肉のこわばり、しゃべりにくさを改善します。
口を大きく開閉する、顔をしかめたり緩めたりする、頬を膨らませたりしぼませたりしましょう。

頭・首の運動

痛みが出ない程度に、頭を左右にゆっくり倒したり回します。

肩・腕・手の運動

関節の柔軟性を高めて動きやすくしましょう。
両手を合わせて腕をゆっくり上げる、両手を背中で繋いで上下に動かす、両手を胸の前で合わせて左右に倒す、腕を上げて手を開閉するなど、さまざまな方法があります。

立って行う運動

筋肉を柔らかくして、姿勢を矯正します。足を10~20cmほど開くと安定するので、覚えておくようにしましょう。
身体をゆっくり前に曲げる柔軟運動、身体を左右にひねるねじり運動、壁を利用して背筋を伸ばす運動などでストレッチを行います。

座って行う運動

着席の際は身体を極力前にかがめて、ゆっくりと腰をおろしましょう。
両手を頭の後ろに組んで身体を前後に曲げ伸ばす、両手を頭の後ろに組んで身体を左右にひねる、顎を引いた前傾姿勢で立ったり座ったりするなどの運動を繰り返します。

寝たまま行う運動

畳や布団の上でも出来るため、重篤なパーキンソン病患者さんでも行うことが出来ます。
仰向けに寝て両足をくるくる回す、膝を曲げたまま起き上がる、お尻を上げる、膝を曲げたまま身体を左右にひねる運動のほか、うつ伏せに寝てゆっくり上体を起こす動作を行います。

リハビリ方法:歩行訓練

パーキンソン病 歩行
パーキンソン病の運動障害「無動」には、ちょこちょこ小刻みな歩幅になる「小刻み歩行」や、はじめの一歩が出せない「すくみ足」といった歩行障害があります。
運動症状に障害が加わることで、より転倒しやすくなってしまいます。
パーキンソン病のリハビリ治療において、歩行訓練は欠かせないメニューの一つです。

患者さんの重症度や状態にあわせて、1日に歩く距離を決めるとよいでしょう。以下は目安になります。

【パーキンソン病患者の歩く距離・時間】
Stage1~2 一日30分ほどのウォーキングを週3回
Stage3 毎日100メートル以上
Stage4 毎日50メートル以上
Stage5 とりあえず歩く。歩けない場合は座位をとり、寝たきりを防ぐ

歩行訓練の方法としては

  • ・音にあわせて足踏みする(足は高く上げるように指導)
  • ・一定間隔の目印をまたぎながら歩く
  • ・壁や台を利用して狭いところを歩く
  • ・階段の昇降をする

などが挙げられます。
他にも歩きながらの方向転換や、立ち上がりからの方向転換も訓練します。かかとをきちんとつけてまっすぐの姿勢をとるよう指導するのがポイントです。
またすくみ足の症状がある患者さんの場合は、膝の曲がり方やかかとのつき方、目線の位置などをチェックしながら訓練しましょう。具体的な指示を出してあげるといいですね。

日常生活

パーキンソン病 リハビリ
パーキンソン病によって日常生活に困難な問題が生じることは多くあります。
しかし人に頼らず、「自分のことはできるだけ自分で行う」ことは、それだけでも立派なリハビリになります。
主体性や自立を促す意味でも、とても大切なことです。

食事

食事の際は一つ一つの動作に集中するようにするとよい訓練になります。
重症になればなるほど、食べ物の飲み込みが不完全になります。
固いものは柔らかく煮たり、液状のものはとろみをつけるなど、食べやすいように調理法を工夫しましょう。
またきちんと足の裏を床につける、正しい姿勢での食事を心がけるようにします。
座位が安定しないと飲み込みにくくなり、誤嚥性肺炎の危険性もあります。

入浴

狭いところでは急に動きが悪くなる場合があります。
お風呂やトイレに入る時は周りに人がいるか、安全の確認をするようにしましょう。

入浴時のポイントとしては、以下が挙げられます。

  1. 体調の良い時間帯を選ぶ
  2. お湯の温度は40度くらいにする
  3. 特に冬場などは、脱衣所を温かくしておく
  4. 入浴時間は10分くらい。体力や好みにあわせて、少しずつ時間をのばす
  5. 浴槽への出入りを容易にするための手すりや踏み台、滑り止めマットなどの環境整備を行う

着替え

立って着替えるとバランスを崩しやすくなります。座って行うようにしましょう。
服はゆったりとした前開きのものを選ぶと楽ですね。

排泄

トイレは洋式便器が楽です。動作が緩慢である場合は、早めに行くようにします。
立ち座りの動作が出来るように、トイレには手すりを設置しましょう。

そのほか、趣味を生かして積極的に外出する、楽しみながら体を動かすといったことが重要になってきます。

音楽療法

パーキンソン病 音楽療法
人間は普通身体を動かしている時、一定のリズムでスムーズな運動が出来るようになっています。
しかしパーキンソン病の患者さんはリズムが不規則に変化してしまうために、歩いている途中で小走りになったり、急に踏み出せなくなってしまうことがあるのです。
音楽療法は、音楽のリズムにあわせて身体を動かすことで脳に一定のリズムを与え、動きやすくすることを目的としています。
また、音楽とともに歌ったり演奏したりすることで、精神的にもリフレッシュすることができます。

飲み込み・言葉の訓練

パーキンソン病 リハビリ

飲み込み

パーキンソン病が進行して重症化すると、喉の筋肉もうまく働かなくなります。
すると食べ物が上手く飲み込めなくなることがあるのです。
リハビリ方法としては、喉の筋肉を刺激するために冷やした綿棒で舌の奥・喉の周りを刺激するアイスマッサージや、口を大きく開閉することで顔の筋肉を鍛える訓練が行われます。

言葉の訓練

パーキンソン病による筋肉のこわばりで口を開けにくくなったり、お腹に力が入りにくくなったりすることがあります。
そうすると声が小さくなり、単調な話し方になることも……。その場合は大きな声を出す訓練や、言葉をスムーズに発声するための文章読み上げ訓練などを行います。

リハビリの原則

パーキンソン病 リハビリ
パーキンソン病のリハビリを行う上で、注意しておきたいポイントをまとめました。

  • ・薬の効果があるタイミングで行う
  • ・けして無理をさせず、患者さんが疲れない程度に行う
  • ・強い痛みを起こすような運動はしない
  • ・出来る範囲のことかで始めて、少しずつ難しい運動に進んでいく
  • ・運動量を少しずつ増やし、最終的には1回10~20分ほどの運動を日に2~3回行う

パーキンソン病に罹った患者さんは、「自分の生活のペースが保てなくなる」ことに強いストレスを覚えます。
動きたいのに動けない、返事をするのが遅れる、症状のつらさを分かってもらえない……
そうした中で周囲が先回りして動く機会を奪ってしまうと、ますますADLやコミュニケーション能力の低下に繋がってしまいます。
リハビリの際は安全を確保した上で、けして急かさず、出来るところまで見守るようにしましょう。

リハビリを継続させるコツ

パーキンソン病 リハビリ
運動機能の低下したパーキンソン病患者さんは、運動やリハビリを敬遠しがちです。
しかし運動不足によって筋力低下が重なると、障害は加速度的に進んでしまいます。
「動くのがつらいから動きたくない」と家にこもってベッドから上がらなくなるうちに、気付いたら廃用症候群になっていて、寝たきりになってしまう……なんてことも。

そこで患者さんに、継続的にリハビリを受けてもらうためのコツをご紹介します。

  • ・気持ちを楽に、リラックスして、十分な時間をかけて行う
  • ・グループを作ったり、音楽に合わせたり、遊びを取り入れたりして楽しみながら行う
  • ・目標を作って、それを達成するように努力していく

ぜひぜひ皆さんも、パーキンソン病患者さんとのリハビリに役立ててみてくださいね!

編集部より

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参考にさせていただいたサイト
アットホーム介護
大日本住友製薬

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