理学療法士業界にいま必要なのは「世間の認知」!理学療法士・石渡雄次さんインタビュー:後編

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今回リハビリのお仕事Magazine編集部は、「未来に向けて、若手療法士はどんな活動をしているの?」というテーマの下、現役の理学療法士・石渡雄次さんにインタビューをしてきました。
前編では「業界内での理学療法士の取り組み」についてお聞きしましたが、後編では、理学療法士の業界そのものが社会にどうアプローチしていけるかをお聞きしていきます。

理学療法士業界がこれから社会で生き残っていくために

―― これまでは業界内での理学療法士についてお聞きしました。それでは、今度は業界そのものが明るくあるためには、どのようなことが必要だと思いますか?石渡さんのご意見をお聞かせください。

石渡:これも僕の所感になりますが……。
今の世間の認知でいうと、理学療法士も柔道整復師もあん摩マッサージ師も、全部「整体師」と思われていることが多いようなんです。
病院にいる整体師さん、接骨院にいる整体師さん、みたいな……。一般の方が違いを知らないくらいの知名度しかなくて。

だからまずは存在ですよね。こちらから歩み寄って、少しでも世間に理学療法士っていう存在を知ってもらうことから始めるべきかなと思っています。

僕自身は理学療法士も柔道整復師も対等な立場であるべきだし、優劣をつけるべきではないって思ってるんですけど……中には理学療法士が医師に近い知識を勉強してきてることにこだわって、そこを区別化しようとしてる人もいて。
そういう理学療法士の中にはあの……プライドがやばい人います!(笑)

―― 「プライドがやばい人」……ですか?

石渡:マッサージ屋さんと一緒にされたら怒る人とか……。たとえばおばあちゃんが「マッサージ気持ちいい」とか言ったら、「これマッサージじゃないです筋膜リリースです」とかって。
そういう手技を患者さんに押し付けちゃうんですよ。
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こだわりがあることはすごく理解できますが、患者に手技を当てはめる必要性はないと感じています。

美容師って言ったら髪切る人ってわかるじゃないですか。でも理学療法士って言っても、一般の人は何する人かわからないですよね(苦笑)
そこをまずどうにかしないといけないので、専門的なことで希少性を高めようっていうのは時期尚早だと思っています。

理学療法士の活躍の場を広げていくこと

―― これからは内部障害や女性リハ、予防分野が注目されているようですが……これについては、今後どのような扱いになるとお考えですか?

石渡:内部障害も女性リハも、根本的には予防を広げていくための方法のひとつなんだと思います。
若い女性は流行の先端なので、そこに予防が広がって健康に関心を持ってもらえれば、その人たちの親にも子にも広まると考えられていて。

内部障害とか女性リハも、もうやってはいるんですよ。薬物療法だったり、美容の超音波だったり。
そこに理学療法士が食い込む……ってイメージです!
新しいところを開拓するというよりは、元々あるものに対して理学療法士が働ける土壌を作っていく。職域を拡大していく感じだと思いますね。
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―― 別ジャンルのところにも、裾野を広げていく?

石渡:薬物療法に対して、「自然にこだわってるから薬は使いたくない」って患者さんもいると思うんです。
そこに理学療法士が食い込めたら、そういう人たちに、別の選択肢を与えられるチャンスになるんじゃないかと考えていて。
今はそれを信じてもらうために、実績を作る研究をしてるところです。根拠で言ったらまだめちゃくちゃ低いけど、結果を出していけば統計は取れるし、確立されやすくなると考えています。

理学療法士「が」社会の中で生き残っていくためにどうするかってことの方が、今は重要だと思いますね。

石渡さんの今後の展望

―― 石渡さんが今後、理学療法士の業界をどのようにしていきたいか、そのためにどんな活動をしていきたいか、思いを教えてください。

石渡:僕個人で業界を変えられるとは到底思っていませんが、一理学療法士単体で考えた場合、保険を使わなくても患者さんが来てくれるような、理学療法士の地位というか認知というか……そういうのを築いていけたらいいと思っています。
それができればもし保険制度が破たんしても、みんな自立して生きていけると思うんですよ。

今、状態が変わらないのに保険を使ってリハビリを続けちゃう人達がいて。実際僕もそれはよろしくないな~って思ってるんですね。
治ったら自立するのが普通なのに、憩いの場になっちゃってるんですよ。でもそれに保険を使ってたら、いつか崩壊しちゃうと思うんです。
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だからいつ何があっても大丈夫なように、備えていくのが必要だと思ってます。

―― そのために、どのような活動を?

石渡:その上で僕は、理学療法士が今活躍できてない場所にアプローチをかけていきたいと思ってます!
そこで知名度上げて、理学療法士はこういうことも出来ますよって広めたいなと。

たとえば小中学校の教育分野。
子供がおじいちゃんおばあちゃんについて勉強する機会とか、なかなかないと思うんです。年とったらどうなるか、とか。
あと部活動のマネージャーや監督に、テーピングの技術を教えたり。必要最低限の技術を伝えていくことで、若い才能を、間違ったテーピングのせいで潰さずに済むかもしれない。
理学療法士はこういうところに絡んでいけるんじゃないかなって思います。
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……まあそうすると、僕の方が仕事なくなるんですけど(笑)

―― 仕事がなくなる?

石渡:今できてる理学療法士の職域から外れて、現場から新しいところに飛び出すわけですから。
でもここで生き残れたら、現場から教育分野に飛び出せる人も増えるかもしれないですよね。
いつか現場に人があふれる時が来たとしても、理学療法士が活動の場を移せるんじゃないかと考えていて。

……僕がまず生き残れるかわからないですけど!ここ(教育分野の土壌を作る最中)で死ぬかもしれないから!あははは(笑)

―― 石渡さんの生き残りにかかっている、と(笑)

石渡:そこまで図々しく「ついてこい!」じゃないですけど……!
でもそこで頑張っていたら、救える理学療法士もあるかもしれないですよね。

【おわり】

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