老健の医療職の仕事は、介護職が仕事をしやすいようにサポートすることなんです

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むとうドットコム 代表、光プロジェクト株式会社 取締役。社会人経験後、作業療法士となり臨床経験5年目で老健副施設長に就任。自ら設計したひのき個浴で生活リハビリを推進、当時2割を占めた機械浴利用者をゼロにするなど、職員と力を合わせ施設の業務改善に尽力する。その後施設は地域でも一目置かれる存在に。現在は独立し、介護施設専門の業務改善アドバイザーやパソコンの修理販売の事業をするかたわら、ショッピングリハビリ®で全国展開をする企業の運営をし、多方面に活動を広げている。

武藤竜也

我々は専門職として自分たちの強みや立ち位置というものに当然こだわるものであり、また守らなくてはならないものです。そしてこれから更に高みを目指さなくてはならないものであると思います。

しかし、もしその自分たちの専門職に対する熱い思いが多職種協働の妨げになっているとしたら、それは考え方を見直す必要性があるのかもしれません。

井の中の蛙だったことに気づき始めた

施設介護の質の良し悪しについて私が興味をもち始めた頃には、まずは書籍や業界誌、ネットなどから情報収集をし始めました。

ご利用者の笑顔と元気が取り戻せるような施設介護とは?
施設職員が辞めずに楽しく働いていける職場とは?

そのようなことが知りたくて調べ始めました。調べていくうちに、今まで自分たちの施設が提供してきたケアが時間で決められた業務優先でどれだけ職員目線のものでご利用者の主体性を無視していたものかを知りました。当たり前と思っていた業務が、全くのデタラメとさえ思えるものでした。でもそれしか知らないと正しいと思って疑わなくなるものです。

医療職がいるから良いケアができない?

当時の私は老健で働き始めたばかりの頃で、介護の良し悪しなんてほとんど知りませんでしたし、恥ずかしながら老健のリハビリのこともよく分かっておりませんでした。このときは新しく知る介護の考え方やケアなどを、まるで水が砂に染み入るように吸収していきました。

その中でひとつ疑問に思うことがあったのです。それは、特養やグループホームなどの我々医療専門職が少ない施設の記事や情報は多く目にしていたのですが、意外にも私の働く老健に関する情報が少なかったということです。このことを私は、当時からお世話になっていた著名な介護アドバイザーの方に理由を聞いてみました。そしたら思いもしなかった言葉が返ってきたのです。

「それはキミたち、医療職がいるからかもしれないね」

寝耳に水とはまさにこのこと。ご利用者に元気になって欲しい、施設をもっと良くしたいと思って毎日頑張ってきたのに、もしかしたら自分たちの存在が何らかの原因を作っていたかもしれないなんて!

みなさんの職場にいませんか?こんな残念な療法士

・リハビリ訓練室から出ることなく、ご利用者の生活の様子など全く知らずに訓練室内で機能訓練ばかり。
・そのご利用者も自分たちでお連れせずに介護職に任せっぱなし。
・食事や排泄、入浴の介助など何も出来やしないのに、介護職に介助の注意点や細かい要望を上から目線で指示を出す。
・介護職が介助中のミスでご利用者に迷惑をかけたものなら、専門職としてのスキルを疑うように叱責する。

とても残念ですが、このような療法士も少なからず存在します。そんな療法士でも、「多職種協働が上手く出来なくて・・」と嘆いていたりするのでしょうかね。でもその本人にしてみれば、リハビリ専門職としてやるべきことを頑張りたい思いがきっとそうさせたのかもしれませんよね。どのような理由であれ間違った療法士であることに違いはありませんが。

老健は医療施設ではなく介護施設だから

これは療法士のことだけではありません。医師や看護師、ケアマネや管理栄養士など介護職以外に老健に関わる医療福祉の専門職は様々おりますが、やはり同じように自分たちを優先に考えてしまい、ご利用者や介護職のことを考える気持ちが足りない勘違い専門職は存在します。また施設長や事務長などの管理職も同じような勘違い者だったら、そこはもはや終わっている施設であるとしか言いようがありません。

老健は最低限の医療的行為は出来ますが、医療施設ではなく介護施設です。介護施設である以上、中心となる職種は介護職です。我々医療職は、介護職が仕事をしやすいようにサポートするのが大切な仕事の一つです。

私はこれまでに、介護職以外の専門職が自らの専門性に固執するあまり、自分たちが職場の中心的存在だと勘違いしているケースをいくつか見てまいりました。

これからの老健に求められる専門職とは

老健において、専門職が自身の専門性にばかり固執してしまうと、多職種協働に支障が出てくることがあります。私は老健よりも医療専門職の少ない特養やグループホームなどから多くの良質な介護を目にしたことへの疑問も、そこに一つの答えがあるように思えてなりません。それは老健管理職を経て、現職である老健業務改善マネージャーとして仕事をしている今でも変わらず思っていることですし、経験を重ねるに連れて確信に近づいてきております。

これからの老健で必要とされる専門職というのは、「専門職として頑張る」というよりも「老健職員として頑張る」という度量の広い考えを持ちながら、自分たちの専門知識や技術を活かしてご利用者はもちろん施設全体に貢献できる人間なのだろうなと思います。

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