これからの時代に求められているリハビリテーションの在り方に、作業療法士は応えていけるのか

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むとうドットコム 代表、光プロジェクト株式会社 取締役。社会人経験後、作業療法士となり臨床経験5年目で老健副施設長に就任。自ら設計したひのき個浴で生活リハビリを推進、当時2割を占めた機械浴利用者をゼロにするなど、職員と力を合わせ施設の業務改善に尽力する。その後施設は地域でも一目置かれる存在に。現在は独立し、介護施設専門の業務改善アドバイザーやパソコンの修理販売の事業をするかたわら、ショッピングリハビリ®で全国展開をする企業の運営をし、多方面に活動を広げている。

武藤竜也

先日、とある療法士養成校の作業療法学科長とお話させていただいたところ、作業療法士の新卒求人数は急増しており、近年にない問い合わせをいただいているとのことでした。これから当分は、「作業療法士バブル」が起きるのかもしれませんね。

これは何故かというと、我が国の医療・介護保険制度が求めるリハビリテーションの軸足が、身体機能の改善から生活機能の改善へ移り変わってきているからです。生活機能の改善を得意とする作業療法士に注目が集まっています。

しかし、ニーズが高まっているとはいえ、今後、療法士人口は増え続け、供給過多となる可能性が高いことは以前からお伝えしてまいりました。療法士全体の需要はそう変わるものではないでしょうから、増える求人があれば、減る求人もあるということになります。

注目の集まる我々作業療法士ではありますが、生活機能が改善できなくては何の意味もないのです。社会の要求に応えられないということですからね。オックスフォード大学の准教授が今後生き残る職業として作業療法士を高順位でご評価いただいた発表をご存知の方も多いと思いますが(原文のリンク)、そんな作業療法士といえど、役に立たない者は淘汰されるべきであると私は思っております。

この国の通所リハビリの在り方とは

作業療法士業界では今、MTDLP(生活行為向上マネジメント:日本作業療法士協会)が話題の一つになっております。

日本作業療法士協会のご尽力のおかげで、MTDLPは国の介護・リハビリの考え方にも大きな影響を与え始めました。特に介護保険では、通所リハビリでMTDLPを踏襲した「生活行為向上リハビリテーション加算」といった報酬が新設されました。これにより、理学療法士や言語聴覚士といった他療法士も作業療法士のリハビリ手法を学ぶ必要性が出てきており、作業療法が広く理解される良いきっかけにもなっております。

さらには、ケアマネや現場の他職種などにも作業療法を広く知っていただき、介護業界が総動員で作業療法に取り組める環境を整備する必要があります。もちろん、我々作業療法士としても作業療法の素晴らしさを再認識するところであり、より一層頑張らなければと気を引き締めていかなければなりません。

また、この「生活行為向上リハビリテーション加算」は算定要件が非常に高く、どこの事業所でも簡単に取得出来るものではありません。しかし報酬額の高さから、国が今後の通所リハビリの在り方として提言しているような、そんな強いメッセージ性を感じざるをえません。もし、この加算が将来包括化された場合にどうしましょう。可能性はゼロではありません。国は今、「出来る施設」と「出来ない施設」を見定めているのではないかと、私はそんな気がしますが皆さんはどう思われるでしょうか。

これからの作業療法士に求められるスキル

さてこのMTDLP。全国のOT県士会で研修会が開催されております。私にはこのMTDLPは、ICFをより使い易くアレンジされたような印象があるのですが、私の参加してきたMTDLP研修会の中で発表された事例の中には、評価はICFで出来ていても、リハビリプログラムは筋力増強だの、輪投げだの、バランス訓練だのと、弱い部分を改善してゴールに向かういわばICIDHの頃のアプローチと何ら変わらないものが多く見受けられました。

その後退院して患者さんのご自宅に赴き、頑張ったリハビリの効果を実証すべく自宅で生活動作を実施してみたら、病院でのリハビリ訓練以上のことがすぐ出来てしまったとの報告もありました。もしかしたら、予めご自宅での出来る動作をしっかり把握していれば、さらに良好な改善結果が期待出来たかもしれないのです。

こうしたことから、これからの作業療法士には、生活行為自体をリハビリ手段として直接活用出来るスキルが求められます。目標とする生活行為をバーチャルに仮定し、筋力や関節可動域などにばかりこだわっていては、他の療法士と何ら違いがありません。専門的な強みをしっかり確立するためにも、そして作業療法士の質の向上のためにも、MTDLPの成熟と共に作業療法士がもっと成長していく必要がありそうです。

特に、私の専門とする高齢者領域では、高齢者は老いを前にして心身ともに「今が最高のときなのだ」という考え方が大切です。筋力や関節可動域が改善してから目的の動作習得へと考えていては、高齢者の大切な時間をムダにしてしまう恐れさえあるのです。

今できる生活行為を高齢者の方々と共に喜び、分かち合い、次の高みへ一緒に歩んで行けるような、そんな作業療法士が増えてくれることを望みます。

編集部より

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