リハビリに「フィードバック」が効果的な理由

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株式会社メディケアソリューション代表取締役。2010年4月から約4年間、老健施設にて施設長を経験し、2014年8月に独立。理学療法士として地域リハビリに従事するかたわら、医療介護施設での研修・講演活動や、経営者・管理職のコーチングやコンサルティング、メールマガジン執筆YouTubeでの動画配信など幅広く活動している。著書「医療・福祉の現場で使える『コミュニケーション術』実践講座」(運動と医学の出版社) セミナーDVD「療法士のためのブレイクスルーコミュニケーション」も好評発売中。

鯨岡栄一郎

フィードバックとは、「組織での立ち位置や役割、相手に与えている印象・影響などを、他人から客観的な事実を伝えてもらうこと」です(※1)。つまりコーチが、

1. 見えていること・聞こえていることの客観的事実
2. その人を見て・聞いて、あなたが感じた主観的事実

を伝えることであり、コーチングをより機能させるために肝となるスキルになります。

あなたは自分のことを理解できていますか?

なぜ人にはフィードバックが必要なのでしょうか?それは、自分のことは自分ではよく分からないからです。顔の表情も、姿勢も、動き方も、言葉や行動のクセも、全て自分でどういう状態になっているか、よく分かりません。

例えば、リハビリテーションの場面では、よく鏡を使いながら、患者さんに動きを認識していただきます。最近ですと、タブレットを用いて歩行などの動画を撮影することも多いかもしれません。顔面神経麻痺においては、「ミラーバイオフィードバック」と呼ばれる、鏡を見ながら目が閉じないようにゆっくりと口の運動を行うリハビリを行います(※2)。

トレーニングジムやエクササイズ、ダンススタジオにおいても、よく壁の鏡を見ながら行っていますよね。また、日常的にも、毎朝鏡の前で髪型を整えたり、化粧をしたりするわけです。これが、鏡というフィードバックがなければどのような状態になっているか分かりません(ただ、これは左右逆なため、純粋な意味でのフィードバックではないことにご注意を)。

自分でフィードバックを得ることの難しさ

また、多くの人は、自分が映っているビデオ動画や録音音声を視聴することは恥ずかしいものです。時に嫌悪感すら覚えるかもしれません。でも、これこそがフィードバックです。

自己認識、自分の中の世界観と第三者から客観的に見るものとのギャップです。
つまり、人はフィードバックがあるからこそ今の状態を認識でき、より良く修正できるわけです。
 
私は、リハビリテーションの場面において、言葉によるフィードバックを強調して行っています。特に、出来ないことよりも、出来たこと、出来ていることへのフィードバックを意識しています。

多くの場合、患者さんたちは、何らかの要因によって、今までできたことができなくなっており、セルフイメージ(自己イメージ)が著しく下がった状態になっています。つまり、たとえ何らかの生活動作が出来ていたとしても、自身の能力を過小評価しており、自分では全然出来ているように感じられないのです!これは驚くべきことです。

療法士に求められるフィードバックとは

そこで、私たちの役目は、現時点で出来ていること、リハビリによって獲得し、出来るようになったことに対して、念を押してお伝えし、「ここ、よく出来てますよ」「そうそう、そんな感じ!」「いいですね~」「もっと曲がるはずですよ」「随分柔らかくなっていますね」のように、逐一フィードバックしてあげることなのです。

この際、「私は~のように感じましたよ」と「私は」が主語で始まる“Iメッセージ”でお伝えしてあげると、相手にとっては受け取りやすいと言われています。

それによって、相手は初めて「あっ、ホントにできてるわね。」「これでいいのね。」と、これが出来ているということなのか、と認識することになります。これが安心と自信につながり、「じゃあ自分でちょっとやってみようかな」という動機づけに繋がるわけです。

また肯定的なフィードバックにより、患者さんの意識も、少なからず悪い(好ましくない)側面から良い側面に向かっていくはずです。つまり、出来ないことにいつまでも固執するのではなく、この状態でも出来ることに着目し、前に進むことができるのです。
 
実際のコーチングセッションの中でも実感しますが、人は自分のやったことがいいのか悪いのか、なかなか確証がもてないことも多いものです。肯定的なフィードバックは相手を承認することそのものです。相手の背中を押し、モチベーションを大きく引き上げてくれます。

ぜひ、あなたが専門家としての立場から見えたこと、感じたことを、相手が受け取りやすい形で伝えてあげてください!

引用)
※1 部下が成長するフィードバックとは(All About)
※2 徳島新聞

参考)
・『coach21 CTPテキスト Module09 フィードバック』株式会社コーチ・トゥエンティワン
・『コーチングの基本 鈴木義幸[監修] コーチ・エィ[著]』日本実業出版社

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