【特集】悲しいときには悲しい音楽を聴くといい?音楽療法士・佐藤由美子さんインタビュー 1/3

The following two tabs change content below.
リハビリのお仕事Magazineでは、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などリハビリ職の方々に向けて情報を発信しております。 寄稿希望・取材依頼・お問い合わせなどございましたら、info@rehabili-shigoto.comまでどうぞ。

音楽療法士」という仕事をご存じでしょうか。

音楽療法士とは、音楽の持つ生理的・心理的・社会的な作用を用いて、対象者の心身の障害の回復、生活の質の向上を図る仕事。おもに老人ホームやリハビリ施設など、医療・福祉の現場で活躍しています。

世間一般のイメージでは日本での認知度はまだまだ低いですが、国内の高齢化の問題や、終末期や認知症へのケアなどで、音楽療法が果たす役割に対する期待が年々高まっています。

今回、リハビリのお仕事Magazine編集部は、アメリカのホスピスで音楽療法を10年間実践した終末期医療を専門とする音楽療法士で、昨年の12年2月に『ラスト・ソング 人生の最期に聴く音楽』(ポプラ社)を出版された、米国認定音楽療法士・佐藤由美子さんにお話を伺いました。

satoyumikosama

ラスト・ソング (一般書)

団塊世代(ビートルズ世代)への音楽療法について

—— 日本で音楽療法が求められるメインの現場は「高齢者へのケア」かと思われます。ビートルズ世代とも言われる団塊の世代は、バブル経済を謳歌した世代であり、ファッションや音楽などの文化を楽しみ、牽引してきた世代です。このような世代への音楽療法のアプローチには、これまでの世代とは異なり、何か他との違いなどはあるのでしょうか?

佐藤由美子(以下、佐藤):世代が変われば音楽も変わります。たとえば「ビートルズ世代」が高齢者になったとき、その人たちに響く音楽は、今の高齢者の方に響く音楽と違うかもしれません。

しかし、「この世代にはこの音楽」と決めつけるのはよくありません。音楽療法でどのような音楽を使うかは、あくまでもそのクライアントのニーズによって異なるからです。

一番大切なことは、ひとりひとりのクライアントにどの音楽や音楽活動を用いるか、アセスメント(事前評価)を通じて知ることです。

その結果に基づいて治療法を考えるのが音楽療法の基本です。

音楽療法は誰にでも効果がある?

—— 音楽療法に適している人と適していない人の違いには、どのような傾向があるのでしょうか?

佐藤:基本的に音楽療法は誰にでも役に立ちます。しかし、誰もが音楽療法を受けたいというわけではありません。まず、その人に音楽療法を受けたいという気持ちがあるかが重要です。

ご家族や施設のスタッフから「よく、昔音楽をやっていたから音楽療法に適しているのではないか」という理由で音楽療法の委託を受けますが、必ずしもそうとは限りません。

音楽が好きな人であれば音楽療法に向いている場合が多いのですが、ホスピスで働いていた際に、音楽家の患者さんで音楽療法にネガティブな反応をみせた人がたくさんいました。

なぜかというと、その人たちにとっては、音楽は「昔できたけど今はもうできないこと」だったからです。そのような場合、音楽療法ではなく、他の療法を薦めることもあります。

だからこそ、音楽療法をするにあたって、まずは、音楽療法がその人に合った療法なのか確認しなければいけません。

悲しいときには悲しい音楽?自分にあった音楽の探し方

—— ストレスや悲しいことがあるなど、状況にあわせて感情をコントロールしたいときに聞く音楽について、自分にあった音楽の選び方のおすすめの方法やコツなどはありますか?

佐藤: 実は、「自分に合った音楽」を見つけるのはとても難しいことなのです。

例えば、リラクセーション音楽にしても、どの音楽でリラックスできるかは主観的なことですので、これを聴けば誰もがリラックスできる、という音楽はありません。

聴き慣れた曲の方が安心する人もいれば、聞いたことのある曲だとリラックスできない人もいます。歌(人間の声)を聴くと落ち着く人もいますが、楽器だけのほうがリラックスできる人もいます。音楽に対する反応は人それぞれなのです。

また、クラシック音楽を聴くとリラックスできるイメージがあると思いますが、私のようにクラシック音楽でトレーニングを受けた音楽家は、クラシックだと逆にリラックスできないという人が多いです。

自分に合った音楽を選ぶことはとても大切です。そのためには、たくさんの音楽を聴いてみるか、音楽療法のセッションを受けてみることをおすすめします。

インタビュー記事は、全3回にわたってお届けします。

第2回は、3月25日(水)の12時頃に公開予定です。

【2015年3月25更新】
第2回となる記事を公開しました。以下リンクよりご覧いただけます。
【特集】音楽には、患者もご家族もケアできる強みがある 音楽療法士・佐藤由美子さんインタビュー 2/3

【関連記事】
2015年は「音楽療法士」に注目が集まりそう!?

この記事が気に入ったら
いいね!

最新記事をお届けします。

LINEで購読