患者さんとラポールを築く最高の方法とは

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株式会社メディケアソリューション代表取締役。2010年4月から約4年間、老健施設にて施設長を経験し、2014年8月に独立。理学療法士として地域リハビリに従事するかたわら、医療介護施設での研修・講演活動や、経営者・管理職のコーチングやコンサルティング、メールマガジン執筆YouTubeでの動画配信など幅広く活動している。著書「医療・福祉の現場で使える『コミュニケーション術』実践講座」(運動と医学の出版社) セミナーDVD「療法士のためのブレイクスルーコミュニケーション」も好評発売中。

鯨岡栄一郎

前回は「患者さんと信頼関係を築く方法」ということで、治療を進める上でとても重要なラポール構築について書き始めました。

とても大事なことなので、これから何回かに分けてご紹介してまいります。今回は「笑顔の効能」についてお伝えいたします。

笑顔がもたらす「親近感」

言うまでもなく、人間はスマイル(自然な笑顔)に好感をもつ生き物です。

笑顔は、「あなたに敵意はありませんよ」「ウェルカムですよ」と示すことになりますし、治療を受ける方としては安心感や、施術者への好感、親近感にもつながります。(※笑顔とあいさつがセットになっていると、より強力です)
逆に、相手がムスッとしていたり、無表情になっていたりすると、「なんでこの人、こんなにつまんなそうにしているんだろう?」と、なんとなく不安になりますよね?

このムスッとした表情、多くの場合において悪気は無く、実は真面目に仕事をしようとしている表れだったりします。
また、他人の表情についてばかり指摘しがちですが、その時に自分の顔を鏡で見てみて下さい。同じようにムスッとした顔をしていますから(笑)
私たちの普段の表情は意識していないと、結構な割合でムスッとしてたり、硬い表情でいるものなのです。

笑顔のミラー効果

心理学で、「ミラー効果(同調効果)」というものがあります。

好感を寄せている相手のしぐさ、表情あるいは動作を無意識に真似したり、自分と同じような仕草や表情を行う相手に好感を抱く効果のことです。

つまり、あなたがムスッとした表情でいると、好ましくない形でミラー効果が起こっていることになってしまいます。
ここからわかるのは、「人を笑顔にしたければ、まず自分が笑顔でいること」。それが、相手に伝染します。
笑顔は、筋緊張のリラックスにもつながりますし、より良い感情で治療を受けることになり、満足感にもつながるでしょう。
 
しかし、何事もそうですが、TPO(時間・場所・場合)をわきまえることが重要です。

思考停止の笑顔は禁物

TPOをわきまえることは、広くプレゼンス(あり方、存在)をマネジメントするということにもつながるのですが、ただいつでも笑えばいいというわけではありません。

かつて、私が臨床実習指導にあたっていた時の話です。
指摘事項があり、学生に少しヒートアップ気味に指導していたことがありました。

この時、目の前の学生は指導を受けている状況にも関わらず、少しニヤニヤした表情をしているわけです。私は思わず、「何で笑ってるの?」と聞いてしまいました。
すると、「いえ、先生からいつも笑顔でいるように、と言われたので」と、悪びれる様子もなく言うのです。

これには愕然としました。笑顔で信頼関係を築くどころか、逆効果になってしまった例です。

ラポール形成は笑顔から!

日々、私たちが働いているなかでは、ときにはイライラしたり、ときには沈んでしまうことがあります。
でも、やはりそこは早い段階で心を切り替えていきたいものです(その状態で治療やリハビリにあたれば、相手には伝わってしまうものですから)。

「身体」と「感情」は連動していることが知られています。そこで、あえてニッコリスマイルをしてみるのです。
スマイルは気持ちを切り替えるスイッチのようなものです。心の中では笑っていなくても表情をスマイルにすると、脳は「楽しいことが起こっている」と勘違いをして、なんとなくいい気分がしてくることがあります。

これによって、まず自分自身が先に楽しむ、というモードに入っていきます。
そんなあなたの姿を、周りの人は見ているわけですから、周りの人もあなたの笑顔によって、前述のミラー効果で笑顔になっていきます。その様子を見て、あなたもいい気分になってくる。そんな良循環をつくり出すことができるのです。

自分からスマイル。これを意識して行うと、あなたへのリクエスト率が大幅に変わっていくはずです。

たかが笑顔、されど……ですよ!

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